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◎俳談

 ◎俳談
【名句の余薫】
下校の子八重撫子に触れてゆく 毎日俳壇入選
 誰にも忘れられない名句がある。私の場合は奥の細道の句だ。と言っても芭蕉の句ではない、弟子の曾良の句だ。那須野が原に足を踏み入れた芭蕉一行を、小さい子供が二人、後を追ってどこまでもついてくる。そのうちの一人は小さい娘で、名を尋ねると「かさね」という。「聞なれぬ名のやさしかりければ」と、曾良が作った句が
かさねとは八重撫子の名成べし
 本当は芭蕉の作という説もあるが、どちらでもよい。小さな女の子が見知らぬ旅人をどこまでも追いかけるという、江戸時代の「安全」と日本人の優しさの原点をそこにある。頭をいっぱい撫でてやったに違いない。その撫子を通学路で見つけて作ったのが掲句だ。

◎「北への石油」の陰に中露の極東戦略

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◎「北への石油」の陰に中露の極東戦略
  ぬかに釘の国連制裁決議
  「貧者の核」は野放し状態へ
 国連の対北制裁決議を分析すればするほど、極東における“準冷戦”構図の厳しさに帰着する。「日米韓対中露」対峙の構図だ。その中心に位置する北朝鮮の“ばか大将”ならぬ“核大将”金正恩が両者の力関係を見据えるかのように核とミサイルの実験を繰り返す。そのたびに国連もむなしい決議を繰り返す。2006年10月9日に北朝鮮が初めて核実験を行ったことに対し、安保理が、同月14日に核の不拡散と北朝鮮に関する決議を採択して以来、9回にわたり繰り返された決議がミサイルと核実験を止められない。止められないから技術力はどんどん向上して、早ければ半年後には米大陸に届くICBMが実現する。国連が如何に無力であるかを物語るものにほかならない。もはやオリンピック精神ではないが決議に参加することに意義があるとしか思えない。ぬかに釘なのである。勢いづいた金正恩は今度はICBMに模擬核弾頭を載せた実験などを準備するに違いない。主要国は国連など頼りにせず、独自の制裁を行うしかあるまい。
 決議のたびに国際社会は「こんどこそ」と一縷(る)の望みを抱くが、今回の決議の一縷の望みは、ガソリンなど石油製品の55%削減と労働者の雇用の全面禁止とされる。40か国に5万人いる北朝鮮労働者と繊維製品の輸出禁止で北の収入を10億ドル削減できるというが、本当に削減が可能か。中露との国境線は長い。万景峰号のロシア航路も始まった。ガソリンくらいは密輸で容易に手に入る。またシベリア開発に便利な北朝鮮労働者をずる賢いロシアが簡単に手放すだろうか。評論家は石油製品の禁輸でエネルギー系にはじめて踏み込んだ意義を強調するが果たしてそうか。はじめて踏み込んだから次の実験では、石油禁輸が実現するのか。そうではあるまい。逆に言えば中露は石油の禁輸阻止に成功したのであり、予見しうる将来においてこれを守り切るだろう。日本が石油の供給をストップされ、破れかぶれの太平洋戦争に突入したように、中露は北が破れかぶれになるのが極東の「安定」を崩すから嫌なのである。従って、国連における駆け引きにおいて国連大使ヘイリーは中露結託組に紛れもなく敗れたのである。最初は「最強の制裁決議」と胸を張っていたヘイリーだが、「石油」に踏み込め得なかったことは米国連外交の敗北にほかならない。この結果、制裁が北の核・ミサイル開発に打撃となり得るかは極めて疑問だ。各紙が朝刊で北の輸出産業の9割が制裁対象となったと報じているが、問題は実効性があるか疑問であるということなのだ。
 中露にとっては北がミサイルと「貧者の核」を完成させても、これが自国に向けられない限りは、米国に対する緩衝国としての役割が拡大するからありがたいのだ。韓国が朝鮮半島を統一して、国境線まで米軍が来ることが最大の懸念材料なのだ。“核大将”は核とミサイルを持ったと威張るが、その本質は中露の準傀儡(かいらい)政権なのである。中露が見放せば崩壊するのだ。よく中国は北の政権が崩壊すれば難民が国境を越えてなだれ込むというが、果たしてそうか。そんな事態になれば中国陸軍と海軍を集結させれば、容易に阻止可能だ。従って難民押し寄せ論は中国にとっては口実に過ぎない。何のための口実かと言えば、自国の安全保障のための口実なのだ。むしろ中国の本音は、たとえ核とミサイルを持った“核大将”でも、存在し続けてくれることが、極東戦略からみればありがたいことなのだ。たとえ噛みつき犬でも番犬としては役立つのだ。
 とにかく中国はワルだ。陰の北支援が止まらない。そもそも核兵器を格段と進歩させている最大の理由は科学者の中国留学にある。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、海外留学した北朝鮮の科学者が持ち帰る専門知識が、核とミサイル技術を格段と発展させた理由であると報じている。留学先の筆頭は中国であり、明らかに北に核ミサイルのノウハウを教えること禁じた2016年の国連制裁措置に違反しているケースがあるという。同紙はここ数年で北朝鮮から数百人の科学者が留学、その多くは国連が北朝鮮の兵器開発に役立つ可能性があると指摘した学問分野だった。同紙は「いまや自国の科学者が核開発を担うとなれば、その野望を封じることは一段と困難にならざるを得ない」とお手上げの状態に至っていることを明らかにしている。
  こうした手詰まり状態の中で、生じているのが日韓の核保有論である。韓国の場合は中央日報が「前大統領朴槿恵がオバマに昨年11月に戦術核の再配備を要請していた」ことをすっぱ抜いた。ホワイトハウス関係者は「要請があればトランプ政権が韓国に戦術核を配備する可能性があることを排除しない」 と漏らしているという。日本の場合も元幹事長・石破茂が米軍による核持ち込み推進論である。古くは佐藤栄作がジョンソンに日本の核保有の可能性を述べた。その後佐藤は沖縄返還に関連して「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核3原則に転換しているが、政府見解では答弁書で「核兵器であっても保有することは必ずしも憲法の禁止するところではない」 と明示している。狂った“核大将” が存在する限り、核アレルギーは崩壊し、核保有論が日韓両国で台頭する可能性がある。

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