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◎俳談

 ◎俳談
【名句の余薫】
下校の子八重撫子に触れてゆく 毎日俳壇入選
 誰にも忘れられない名句がある。私の場合は奥の細道の句だ。と言っても芭蕉の句ではない、弟子の曾良の句だ。那須野が原に足を踏み入れた芭蕉一行を、小さい子供が二人、後を追ってどこまでもついてくる。そのうちの一人は小さい娘で、名を尋ねると「かさね」という。「聞なれぬ名のやさしかりければ」と、曾良が作った句が
かさねとは八重撫子の名成べし
 本当は芭蕉の作という説もあるが、どちらでもよい。小さな女の子が見知らぬ旅人をどこまでも追いかけるという、江戸時代の「安全」と日本人の優しさの原点をそこにある。頭をいっぱい撫でてやったに違いない。その撫子を通学路で見つけて作ったのが掲句だ。

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