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◎俳談

 
【市を詠む】
 句会で「写楽顔」がありふれているとけなされた俳句を、新聞に投句したら入選した。
ぬぬぬぬと写楽顔出るべつたら市 日経俳談入選
である。俳句を作るには、各地で立つ市ほど材料が豊富なものは無い。東京には市が多い。べつたら市、世田谷ぼろ市、年の市、羽子板市などと続く。いずれも季語でもあるし、実際に現場を踏むと材料には事欠かない。俳句は現場ですぐ造る場合と、熟成させて造る場合があるが、私は熟成させるケースの方が圧倒的に多い。
亡き父をべつたら市で見かけしが 産経俳壇入選
は、父親そっくりの年寄りの後ろ姿を見かけて造った。はっとしたものは熟成して後で俳句になるのだ。
 世田谷のぼろ市も面白い。12月と1月の2回開かれる。
ぼろ市や本物らしき物のあり 杉の子
と言った具合だ。有馬朗人は、学者の心境であろうか
世に合わぬ歯車一つ襤褸(ぼろ)市に
と詠んでいる。
12月の半ばから大晦日にかけて各地の社寺で開かれる年の市も風情がある。暮れの寂しさのようなものを詠むと成功する。
年の市街の孤独を拾ひたり 杉の子
新潟の朝市で情景そのままを詠んだ。
釣銭の凍り付きたる朝の市 杉の子

◎平昌舞台に“脂粉外交”の攻防

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◎平昌舞台に“脂粉外交”の攻防
 米、イバンカ派遣で巻き返し狙う
 平昌五輪を舞台にした外交で華々しい成果を上げたのは何と言っても金正恩の妹金与正だ。与正の肩書きは中央委員会第1副部長だが、事実上の金正恩の代理として訪韓し、9日から11日まで2泊3日で滞在、韓国との関係改善の突破口を明けた。一方で米国は大統領トランプの長女で補佐官イバンカを23日から3泊4日で派遣して、文在寅と会談させる。まさに平昌を舞台に“脂粉外交” が展開される。厳しい極東情勢を反映して、米朝の女の戦いが展開される形だ。文在寅は両方にいい顔をするコウモリ外交を強いられることになり、喜んでばかりはいられない。
 金与正は妊娠7か月だという。韓国政府は金与正が妊娠していることを昨年暮れから知っていたといわれるが、まさか金正恩が身重の妹を派遣するとは予想していなかった。国連の制裁決議が真綿のように金正恩の首を締め付ける中で、北は“瀬取り”と言われる沖合での荷渡しをするなど苦しい対応を迫られているのが実情だ。包囲網打開への一手として苦し紛れに打った手段が、妹の派遣による文の籠絡だ。局面打開に“ほほ笑み外交”を選んだのだ。
 その意図については日本の新聞より米国の報道の方が的を射ている。ワシントンポストは金与正を、外交舞台で影響力を行使しているイバンカ・トランプになぞらえて、「北朝鮮のイバンカ・トランプ」と大きく紹介した。同紙は、金正恩の妹でありながら富や権力を誇示しなかったことを予想外だと評価し、「金与正は薄化粧に地味な装いで“謎めいた”微笑だけを見せている」と描写した。一方、CNNは、「独裁者金正恩の妹が平昌冬季五輪の関心を一人占めしている」と報道、「金与正の韓国訪問が平昌冬季五輪閉会式に参加する予定のイバンカを意識して高度に計算されたものだ」と分析している。一方で米国内では厳しい見方もあり、元中央情報局(CIA)韓国担当研究員のスミ・テリーは「政治家の家族としてつながっているという点や、説得力あるセールス能力を要求されているという点で北朝鮮のイバンカだ」と評すると同時に「人間の顔を持った全体主義だ。彼女は善意を持てない国から来た善意を持つ大使のように行動している」と断定した。
 こうした中でオリンピックで先延ばしになっていた米韓合同軍事演習がパラリンピック終了後に予定通り開かれるかが焦点だ。韓国国防部長官宋永武は20日、合同軍事演習について、「パラリンピックが終了する3月18日から4月前に韓米両国の長官が発表するだろう」と述べた。もっとも宋は「どうするかは、肯定も否定もしない」とも述べており、あいまいだ。文在寅は合同演習が北との“ほほ笑み外交”に影響を及ぼすことを極度に恐れていると言われ、何かと理由をつけて先延ばしにする可能性も否定出来ない。その最大の理由として、金正恩とのトップ会談の交渉が進展していることを挙げる可能性がある。
 金正恩は与正の成果を褒め称えて「平和と対話の良いムードをさらに昇華させ、素晴らしい結果を生むことが重要」と発言している。金正恩の狙いは韓国を国連制裁の枠から引き離し、経済的な利益をもたらす関係へと引き戻すところにある。紛れもなく文在寅の“甘さ”につけ込もうとしているのだ。こうした文在寅の優柔不断さに対して、米国はおそらくパラリンピック終了前後に強いけん制玉を投げるに違いあるまい。しかし左翼の文在寅は確信犯的に北に傾いており、一筋縄ではいかないだろう。

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