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◎竹下派、「自主投票」と言う名の「分裂投票」

◎竹下派、「自主投票」と言う名の「分裂投票」
  竹下(亘)の力量不足が主因ー自民総裁選
 名門竹下派の総裁選への対応が空中分解して、自民党総裁・安倍晋三の事実上独走態勢が固まった。安倍は9月の総裁選挙で所属国会議員8割以上の支持を受けて3選される流れとなっている。安倍3選は筆者がもともと「決まり」と報じてきたが、ますます「決まり」となった。国会議員の安倍支持勢力は細田派94人、麻生派59人、岸田派48人、二階派44人、石原派12人の大勢となる見通しだ。405票ある国会議員票の8割近くを安倍がまとめつつある。一方竹下派の参院議員は大勢が元幹事長・石破茂を支持する方向だ。立候補の意欲を見せる石破は、自派と参院の竹下派21人程度の支持で、せいぜい50票弱を獲得するする方向にとどまる。石破の狙いは3年後の総裁選にあるが、安倍の圧勝は、立候補を見送り安倍支持に回った前外相・岸田文男に勝てない流れを生じさせそうだ。岸田が立候補する際には安倍派が岸田に雪崩を打つからだ。
 竹下派の内部事情は衆参で月とすっぽんほど異なる。その原因は総務会長・竹下亘の指導力欠如に如実に表れている。同派の衆院側は、経済再生担当相・茂木敏充、厚生労働相・加藤勝信ら8割超が安倍支持へ動いている。一方参院は元参院議員会長・青木幹雄が反安倍路線であり、政界引退後も影響力を保持している。その理由は極めて個人的で、青木の長男一彦がは2016年参院選から合区された「鳥取・島根」選挙区で、石破の手厚い支援を受けていることだ。青木としては、石破の協力を得て、一彦の選挙基盤を盤石にしたい思惑があるのだ。
 竹下はこのほど同派衆参両院議員らから総裁選への対応を聴取したが、衆院23人が安倍支持を表明、石破支持は竹下自身を含めて6人程度にとどまっている。参院側は21人の大半が石破支持であり、青木の影響を感じさせる。「鉄の結束」を誇り、遠く佐藤栄作派に源流を置く竹下派も、近年では総裁選で自派候補を出せないままとなっている。異母兄に当たる故竹下登と亘の政治力の差が如実に出ているのだろう。竹下は自分自身が石破支持のようであり、この方向で派内をまとめようとしたが、安倍支持勢力の反発を食らい、力量の不足を見せつけた。8日の幹部会でも竹下は一本化を試みたが、実現に至らなかった。結局竹下派は「自主投票」という名の分裂投票に突入するしかない方向となって来た。福田康夫の任期途中での総裁辞任に伴う2008年総裁選挙でも、派内の支持は3候補に分断されている。自民党内7派閥のうち態度を表明していなかった石原派12人は9日の幹部会合で安倍支持を打ち出す方向だ。
◎俳談
【無季俳句鑑賞】
 季語は江戸時代の連歌の発句に由来する。発句は連歌の詠み手たちへの挨拶句であり、挨拶として時候が含まれるのが常であった。この流れをくんで現在の俳壇の主流は有季定型といって、季語を入れた五七五で形成される。戦前には季語の概念がない「無季俳句」や「自由律俳句」の流れも生じたが、いまや傍流である。有能な無季俳句の達人がいなくなったことが原因であろう。
 自由律俳句の筆頭が種田山頭火だ。もっとも有名な句が
分け入っても分け入っても青い山 
である。この句には季語が全くないが、どこからともなく初夏から夏にかけての季節感を感ずる。青い山に分け入るのだから冬でも、春でも、秋でもない。このように季語がなくても季語を感じさせるところに山頭火の非凡な才能を感じさせる。象徴しているのは俳句の道の険しさであろう。
 昭和14年に渡辺白泉が26歳で作ったのが
戦争が廊下の奥に立ってゐた
である。詩人で評論家の大岡信は「廊下の奥というささやかな日常生活に、 戦争という巨大な現実は容赦なく進入してくる」と鑑賞しているが、見事だ。反戦句として取り上げられる場合が多いが、反戦句と言うより、自身の恐怖感を率直に述べたのだろう。
 女のさがを詠んだのが中村苑子だ。
黄泉(よみ)に来てまだ髪梳くは寂しけれ
あの世に行っても髪を梳くであろう自らの姿を、おそらく鏡の前で髪を梳きながら想像しているのであろう。下五の「寂しけれ」が女の業を見事に表現している。読者に幽霊の姿まで連想させて、特異な感慨に導く。
 こうした「無季俳句」や「自由律俳句」は、とても一般の俳人が真似られるものではない。新聞俳壇でこの種の俳句が入選することは極めてまれである。

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