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◎佐藤政権は都議・知事選敗北でも最長

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◎佐藤政権は都議・知事選敗北でも最長
 地方選の政局影響は限定的
 早期改造が長期政権への正念場
 宰相たるものこれでなければならない。1964年から72年まで2798日続いた佐藤政権は歴代第一の長期政権だが、都議会選挙でも破れ都知事選でも敗れている。そのときの佐藤栄作日記を取り出して読んだが面白い。どうしても都議選と政局を結びつけたい近頃の政治記者はおみおつけで顔を洗って読んではどうか。まず65年の都議会選は議長選挙に絡む汚職事件が明るみに出て都議会野党の社会党が第1党に躍進した。これに対し、都知事与党の自民党は過半数61議席を大きく下回り、定数の3分の1を割り込んで第2党に転落した。しかし、翌日7月24日の佐藤日記では「わずかに38で第二党に、社(社会党)は45で第一党。残念だが仕方がない。再建を図るのみだ。ゴルフに出かける。これも芳しくない」とある。都議選結果など歯牙にもかけていないでゴルフに出かけている。ただし安倍はこれを真似してゴルフをしてはいけない。昔と変わって悪意を持った新聞、民放が幅を利かせており、叩かれる。
 もっともさすがに佐藤も知事選はちょっとこたえたようだ。1967年佐藤は内務官僚出身の鈴木俊一を推し、共産・社会両党は共産党系の美濃部亮吉を推す選挙だった。6月17日の日記には佐藤は「朝刊は美濃部勝利を大見出しで取り扱う。一寸不愉快なり。幹事長は九時過ぎにやってくる。見るも無惨。ほんとに気の毒。小生以上に気落ちした様だ。然し『勝敗は戦いの常』、悲観することもよろこぶこともない。要は如何に戦ったか、次の戦を如何にすべきかのみ」 とある。傑作なのは幹事長福田赳夫を「気の毒」とまるで他人事のような書きっぷりであることだ。確かに国政選挙と違って地方選挙などの第一の責任は幹事長にあるという認識なのであろう。佐藤の強みは「勝敗は戦いの常」と達観し、「次の戦を如何にすべきかのみ」と割り切っていることであろう。常に前向きなのだ。これが長期政権のコツだ。
 うれしそうに朝日が「首相の求心力低下」とか「安倍一強に大打撃」と見出しを躍らせているが、たかが地方選挙で、この見出しは意図的であり、希望的な観測だ。社是の公正中立な報道などかなぐり捨てている。確かに自民党は過去最低の38議席を下回る23議席と歴史的な大敗を喫したが、安倍はトラウマを引きずらないことが重要だ。長期政権への正念場と解して、まず最初の反転攻勢は早期に内閣改造を断行、「心的外傷」を取り除くことだ。NHKの調査で安倍内閣の支持率は48%で堅調であり、自民党支持率も36.4%と高止まりしている。これは共産党系候補やお笑いタレントを知事に選ぶ東京都民の「伝統的な特殊性行」というか「民度の低さ」が地方に伝染していない証拠であろう。まず人事では幹事長を交代させることだ。このテンポの速い時代にブツブツと説得力のない発言を続ける二階俊博はどうもテンポが合わないし、訴求力がない。票を稼ぐタイプではない。この調子では衆院選でも負ける。むしろ二階は自ら都議選大敗の責任をとって進退伺いを出すべきだろう。加えて“側近”を重用しないことだ。今回の選挙で一番安倍の足を引っ張ったのは「加計疑惑」がとりざたされた防衛相稲田朋美と、こともあろうに東京都連会長の下村博文。そして萩生田光一ら側近であり、下村は「責任を取って都連の会長を辞任したい」と発言しているが当然だろう。また陣笠だが豊田真由子のヒステリー的な暴言、暴行も大きなマイナスだった。今度の改造ばかりは閣僚や党役員経験者で「疑惑」が生じていない人物を登用した「重厚実務型」内閣とする必要がある。今回ほど求心力確保が求められるケースは無い。従って派閥順送りで聞いたこともない陣笠を登用して、スキャンダルが発覚、またまた閣僚辞任を引き起こしてはならない。
 選挙結果を見れば地域政党「都民ファーストの会」が49議席を獲得し圧勝、第1党に躍進したことが全てに波及した。小池が生んだ「都民ファ」は、小池の人気低下と共に消滅するだろうが、それまで都議会自民党は艱難辛苦の時代に入った。捲土重来を期するしかない。加えて自民党が23議席と過去最低となったのは、朝日、毎日、TBS、テレビ朝日の「4大政敵」に攻撃の口実を与えてしまったことが最大の原因だ。高年齢層が大きく都民ファーストに傾いたのは、暇に任せてワイドショーをみれば、朝から晩まで加計疑惑と反安倍の報道に徹しており、選挙妨害もいいところであった。これに爺さん婆さんも“洗脳”されたのだろう。保守的であった高齢者層も判断力を低級コメンテーターの発言に委ねてしまったのだ。
 哀れをとどめたのは民進党だ。蓮舫は「演説を重ねるたびに立ち止まってくれる人が増えた」と述べていたが、立ち止まった人は首を傾げていたのではないか。あれだけ安倍批判を展開したのに効き目は全くなく7議席から5議席に減少した。逆に共闘した共産党は17議席から19議席に増えた。これは国政選挙でも共闘は共産党を利するだけであることを物語る。蓮舫のリーダーシップの欠如は大問題だが、自民党への打撃が大きすぎて、責任問題がかすむ可能性がある。留任してくれた方が自民党にとっては総選挙に向けてありがたい。公明党は、素早く小池人気に乗り換えて1議席増やした。“巾着切り”のような対応で、自民党を裏切った。いかに信用出来ない政党かが白日の下にさらされたが、自民党は国政選挙での共闘は嫌でも推進しなければなるまい。そのうちに裏切り政党は“仏罰”が下るから見ていればよい。
 自民党内は反安倍色を強めている元幹事長・石破茂らが手放しで喜んでいる。「負けたことを総括しないと次も負ける」だそうだが、だからといって人望のない石破に議員らがなびくかと言えばとてもその状況にはない。もう1人端倪すべからざるのが小池百合子。国政への進出を否定しているが、これは勝ちすぎの反動が恐ろしいからではないか。ほとぼりが冷めて機が熟したとみれば国政進出も考えないとは言えまい。身の程を知っていたら政治家にはなるまい。もっとも都議会の小池チルドレンの愚論愚行がやり玉に挙がるのはそう遠いことでもあるまい。とても国政へとつなげられる立派な集団とはほど遠く、いずれは馬脚が現れる。 

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