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◎復興消費税は菅自身がネックとなってしまった

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◎復興消費税は菅自身がネックとなってしまった
 信義がなければ物事が進まないことを「大車も軛(くびき)無ければ進まず」と論語が形容している。軛は牛馬の首にかけて車を引く横木だ。民主党政権の最重要課題である復興財源案が表に出た途端に頓挫してしまった。復興目的消費税に与野党から反対の大合唱である。なぜかと言えばひたすらに首相・菅直人がやるのでは嫌なのである。まさに「嫌菅」ここに極まれりだ。
 この政権が信用されないのは、物事に真っ正面から向き合わないからだろう。官房長官・枝野幸男が復興債の財源となるべき消費税増税について「民主党が検討している」と党側へと“前さばき”をした。消費増税の出所は明らかに党側ではなく政府側だ。首相・菅直人が1月の時点では「消費税に政治生命を賭ける」と断言し、18日の国会答弁では「財政再建ができれば本望」と述べ、首相ブレーンの内閣府経済社会総合研究所所長の小野善康が19日、「復興税でまかなうのは当然」と述べているのが紛れのない状況証拠だ。おまけに消費税3%増で3年の時限的な復興税にしたあと、“衣替え”で恒久化して社会保障財源にする構想は財務省オリジナルだ。
 要するに菅には自分を前面に出してはまずいという“及び腰”があるのだ。無理もない。野党や党内から直ちに反対の火の手が上がった。自民党幹事長・石原伸晃が「国債を償還するための消費税には反対だ。消費税は社会福祉目的に限定しないと国民の理解は得られない」、公明党代表・山口那津男も「直ちに消費税を充てるという考え方には賛同しない」と足並みをそろえて反対だ。小沢グループも衆院議員・川内博史が反対を表明するとともに、「両院総会で議論すべきだ」と“政局化”を目指す構えを表明した。小沢直系の中堅議員による一新会も19日「もはや菅内閣では国や国民が救えない」として“倒閣”で一致している。
 こうした動きの背景には、菅の狙いが「消費増税での正面突破」にあると見抜かれていることがあるのだろう。増税を認めれば自民、公明両党を始め、小沢グループも含めて「菅降ろし」と矛盾するのだ。自公両党は下手をすれば「菅政権のまま大連立に持ち込まれかねない」と警戒しているのだ。消費増税という大命題に賛成しておいて自民党は、内閣不信任案や問責決議案を提出するわけにも行くまい。小沢グループも両院議員総会での過半数で菅退陣を求める話しが出ている以上、党内の多数派工作に影響が出て、とてものめる話しではない。消費増税は浮上した途端に政権の枠組みと首相進退が密接に絡んで、調整どころではない状況に陥ってしまったのだ。要するに政治の現状は「菅がやることは全てノー」なのだ。
 いずれにしても、被害総額は25兆円に上るのであり、2011年度第2次、第3次補正予算案は合計で20兆~30兆円規模に上ると想定される。消費税は1%で2.5兆円の税収があり、3%、3年間で22.5兆円が想定できる。この際消費税導入は不可欠とも見えるのだ。読売新聞も20日付の社説で「復興に増税はやむを得ない」として「広く薄く負担して支援するという復興税の目的を考えれば消費税を中心に検討することになる」との見通しを述べている。自民党にしてみればもともと福祉目的税としての消費税を推進してきているのであり、3年後の“衣替え”で妥協してもおかしくはないのだが、全ては菅がネックになってしまっているのである。「大震災のどさくさに紛れてやろうとしている」という見方に定着してしまうのだ。「退陣」無くして全ての物事は進まずということなのであろう。


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