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◎菅、復興債と消費増税連動で正面突破の構え

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◎菅、復興債と消費増税連動で正面突破の構え
 この時点で首相・菅直人が「財政再建」を再び口にした背景に何があるかを探れば、「復興再生債」の裏打ち財源として消費増税を考えているとしか思えない。幹事長・岡田克也も復興財源の償還は「税しかない」と言明、菅に同調している。明らかに「復興財源と消費税」の錦の御旗で退陣論を中央突破する構えとみられる。しかし、ただでさえ「菅降ろし」の嵐が吹き荒れる中で、消費増税という大事を成し遂げられるかというと、菅では荷が重すぎるという所に落ち着かざるを得ない。
 18日の参院予算委は追及する側が二線級とあって退屈な集中審議だったが、最終段階でたちあがれ日本の片山虎之助の質疑だけは冴えていた。短時間で政局に絞って菅に後進に道を譲るよう迫った。巧みな質問につられて菅は「まずは復旧、復興、できれば財政再建も含めて与野党で共通する青写真を作って任期が2年半後には来るから、欲張りかも知れないが与野党共同の形がとれれば政治家として本望」と答えた。即時退陣論が強まる中で、2年半後までやるとは開き直ったものだが、ポイントは久しぶりに財政再建を口にしたことにある。
 この時点で消費増税とは一見ピントが外れているように見えるが、岡田の記者会見で納得した。岡田は「復興再生債を発行する。その償還財源について野党に提案しようと思うが、基本は税だ」と言い切った。政府筋も「増税しかない。消費税だ」と漏らしている。そういえば菅は復興会議議長・五百旗頭真をして「震災復興税」を主張させているが、脈絡が合う。復興に必要な10兆円以上の復興債を発行するには世界的に国債への信用が揺らぐのを防ぐための裏打ちが不可欠だ。そのための増税については消費税や所得税、法人税などさまざまな案が浮上しているが、何と言っても手堅いのは1%で2.5兆円の税収増が見込まれる消費税だ。マスコミはもともと消費増税論であり、自民党も基本的には消費税導入だ。菅にしてみれば昨年の参院選挙以来の主張であり、いわば復興債の財源とするという導入推進への錦の御旗ができることになる。もちろん一定の時期が来れば社会保障に回すことを確約した上での導入であろう。復旧のための第1次補正予算案はいくら何でも連休明けに成立するだろうが、第2次補正予算案は財源のめどが立たない限り組むことができない。菅・岡田路線は消費増税に固まりつつあるとみた。
 しかし、ただでさえ「死に体気味」の菅がこれを成し遂げられるかというと話は別だ。党内と野党の挟撃に遭おうとしている菅である。いくら水戸黄門の印籠をかざしても「復旧ー復興ー財政再建」の全てをやるというのは確かに「欲張り」としか言いようがない。まず小沢一郎が反対するだろう。マニフェスト至上主義で反菅勢力をまとめてきた小沢一郎にしてみれば、子ども手当などがなし崩しでおろそかにされたうえに、消費税導入までやられては怒り心頭に発するだろう。既に檄文を発して「菅降ろし」に着手しており、連休明けには行動に移すべく手ぐすねを引いているときだ。小沢周辺では昨年の代表選挙が206票対200票の僅差であったことを挙げ、「今の党内情勢は逆転している」との判断が有力になっている。両院議員総会の過半数で菅に辞職を求める決議が成立し得ると判断しているのだ。たしかに小沢グループと鳩山グループなどが一致すれば衆参両院議員410議席の過半数は得られる。加えて野党が不信任案や問責決議案を提出すればこれに同調する可能性もある。小沢はインターネットの対談で不信任案同調について「政治家としてどうすべきかということを考えなければならない時期だ」と前向き姿勢をみせている。小沢は野党の力も活用して菅に対する“巻狩り”をしようとしているように見える。
 菅は国民新党代表・亀井静香と語らって与野党による「復興実施本部」構想を提案させたが、18日野党から総スカンを食らって事実上つぶれた。だいいち亀井の提案ではうさんくさすぎる。自民党幹事長・石原伸晃が「両者の信頼関係がなければ物事は成就しない」と述べたのは、菅への不信と亀井が信用ならぬことの両方がある。菅は行き詰まったのであり、その菅が消費増税を唯一の突破口にして、この難局を切り抜けるのは無理だろう。首相が代わらなければ物事は進まない政治状況となりつつあるのだ。


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