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◎俳談  

◎俳談
【人生の黄金期】
恐ろしき昭和を見たり昼寝醒  朝日俳壇年間秀句
 何と言っても人生の黄金期は退職後にある。何しろ働かなくてもメシを食っていける。筆者の場合は連日、前人未踏の4000字に達するニュース解説をブログに書くことを自らに義務づけているから、ほっとするのは金曜と土曜だけだ。それでも開放感はすばらしい。退職後最大の醍醐味は昼寝だ。筆者は徹夜で執筆する関係から午前と午後の2度寝る場合がある。ほとんど夢など見ないが、見る場合もある。
 掲句は原爆や戦争の夢を見たわけではないが、昭和を回顧すれば「恐ろしき」と形容するしかない。実際に見たように嘘を言い切るのが俳句だ。ただし、たいていの嘘の句はばれる。嘘のつきかたが下手だからだ。達人芭蕉は蛙の飛び込む水の音がしようがしまいが、絶対にばれない。凡人は少なくともばれるかばれないかすれすれの嘘をつかなければならない。昼寝覚も昼寝も夏の季語。次の句は嘘ではない。
猫の舌仕舞ひ忘れて昼寝かな 産経俳壇入選

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