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◎“進次郎節”が安倍顔負けの“集票力”

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◎“進次郎節”が安倍顔負けの“集票力”
 清新さを武器に“とどめの一撃”
 今更ながらびっくりしたのは今をときめく小泉進次郎の18日の演説だ。あまりに名演説なので録画を書き取った。少し長くなるが紹介する。小泉は沖縄県南風原町で、「自民党が優勢に戦いを進めているという報道もあるが、仮にそうだとしても、それは、野党が分裂して、お互い食い合っているだけであって、私たち自民党が皆さんから完全に信頼を回復できたわけでもない。8年前に失った私たち自民党の信頼は、まだまだ回復の道半ばにある。決して私たち自民党が、得点を挙げてきたわけではなく、野党があまりにもひどすぎた。ものごとに反対することは簡単で、言うことも簡単だ。しかし、それを形にするのはそう簡単なことではない。私たちは、諦めないで一つ一つ形にしてくことを、いくら時間がかかってもぶれずにその道をまっすぐ進んでいきたい」と述べた。この演説から分かることは、まず、明らかに全国向けの演説を意識していることだ。小さな自治体向けの演説ではない。NHKのカメラを意識して、“狙った”のだ。
 加えて 小泉は政局観がしっかりしている。自民党が、現在置かれている立場を十分すぎるほど理解しているのだ。置かれた立場とは「勝って兜の緒を締めよ」である。このままなら野党の体たらくで圧勝の流れだが、この流れはちょっとでも慢心が出ると崩れる。なぜなら、野党は民進党の瓦解で立憲民主党以外は総崩れだが、これは自民党にとって“敵失”による漁夫の利である。これを知り抜いた小泉が逆張りで「自民党が、得点を挙げてきたわけではなく、野党があまりにもひどすぎた」と謙虚に反省すれば、迷っていた有権者や、今回は自民党が有利だからバランスを取って野党に投票しようとしていたいいかげんな有権者も「そうか」と納得する。
 以前から小泉は街頭演説では「財政赤字は民主政権で悪化したが、もとをたどれば自民党の責任。しっかり反省しなければならない」などとまず反省を前面に打ち出して訴えている。この意図は、自民党内にも若い世代が存在し、旧態依然たる党幹部と異なり、自らを批判する謙虚さを持っていることを訴える必要があるからだ。新鮮さをフルに活用しているのだ。加えて「諦めない。いくら時間がかかってもぶれずにその道をまっすぐ進む」と決意を表明して、締めくくる。これにすがすがしささが加わって、NHKが報じた他党党首の演説は色あせた。食卓でテレビを見ていた家内が、リビングでやはり見ていた小生のところに飛んできて、「すごい」と宣うた。選挙終盤の夜7時のニュースの冒頭だから、自民党にとっては「とどめの一撃」とも言えるほどのスピーチだ。
 小泉の選挙戦術は演説内容ばかりではない。何と「無言作戦」まで展開している。スポニチなどによると、12日の千葉県松戸市で応援演説をしようとしたところ、50メートル先で立憲代表の枝野幸男が演説を開始してしまった。普通なら街頭で鉢合わせすればボリュームを上げてがなり立てるところだが、小泉は逆であった。街宣カーに上がった進次郎は、聴衆に向かってあいさつすると、2人の声が交錯することを知った。すると小泉は「みなさん、今、あそこで枝野さんがやってますから、終わるまで枝野さんの話を聞きましょう」と聴衆に呼びかけ、枝野の演説が終わるのを待つ余裕を見せたのだ。予期せぬ事態に聴衆からは驚きの声が上がったが、進次郎は10分以上にわたり、「無言」で聴衆に手を振り続けた。枝野の演説が終わろうとするころ、「立憲民主党の街頭演説を聞いているみなさんにも大変申し訳ありませんが、ぶつかる形になりますけども、今から短くやらせていただきます」と断り、ようやく口を開いたのだという。
 両陣営によるとお互いの演説場所が重なっていることを知ったのは10日夜。事前に知っていた小泉は、練りに練って“無言作戦”を取ったことになる。相当なテクニシャンでもある。いずれにしても、こうした小泉の態度からは、すがすがしさを感ずる国民が多いに違いない。テレビのニュースに露出するのは、首相・安倍晋三か小泉のどちらかであり、安倍はオーソドックスだ。首相としては当然だろう。一方“新次郎節”はその安倍もタジタジの貢献ぶりである。自民党は掛け値なしで大輪の花を咲かせ、集票に貢献をさせていることになる。まさに政界のサラブレッド、肝が据わって度胸のある男が登場したものだ。

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