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『一隅を照らす』 ―― 理性と良識を守る――

『一隅を照らす』 ―― 理性と良識を守る――
安保政策研究会理事長  浅野勝人

ここに「一隅を照らす」 理性と良識を守って――河野謙三 著
“ 浅野大兄 恵友 謙三 ”と筆の署名があります。
参議院議長・河野謙三 書き下ろしの42年前の著書です。

参議院改革を旗印に議長になった河野謙三は、与野党伯仲の困難な国会運営に臨み、「七 三 の構え」を宣言して政府・自民党をけん制しました。

河野謙三は、著書の中で、
「法案審議に野党七、与党三の比重をかけていこうという“七三の構え”の提唱に対して、与党側からそれでは不公平だという声が出ている。“七三の構え”をとる私が第1党を軽視している、との非難である。
政府・与党は寛容と忍耐の精神で議場にのぞみ、野党に法案を質す機会と時間を十分与え、“親切にお答えしましょう”という態度が望ましい。そして、審議の過程で聞くべき意見があれば、思い切って原案の修正に応じる。野党には、ただ絶対反対だけではなくて、具体的、建設的な意見・創意を出す責任がある。そうゆう腹の太さが必要だろう。この平凡なルールが守られるようになったら与野党対決法案は、もっと容易に、しかもよりよい解決の道が見いだせるものと思う。“七三の構え”とはそうゆう意味に過ぎない。
私は議長就任の際、『野党と結託した』とずいぶん非難された。そのとき私はあえて『オレは世論と結託したんだ』と反論した。
このことは今でも変わりはない」

フランスの総選挙でマクロン大統領(39)の新党「共和国前進」が議席を6割獲得して圧勝。既存の二大政党、中道右派(共和党など)と中道左派(社会党など)は惨敗しました。
日本に当てはめてみると、「新党・前進」が2/3近い議席を獲って、自民党と民進党が惨敗して図です。

細かい分析結果は、パリ特派員に任せますが、マクロンの発言は「潔い」(いさぎよい)。アメリカのトランプ大統領に対しても、イギリスのメイ首相に対しても、異なるフランスの立場を自らのことばではっきり主張して引かない。しかも物言いが悪印象を与えない。「野党との対話」を重視して、世論と結託している政治姿勢がすがすがしく映っています。
河野謙三が生きていたら、合格点、しかも高得点の採点をしたに相違ありません。

通常国会が終わって、6月17日、18日に実施された世論調査が一斉に発表されました。厳しい数字を選んでみますと(これが世論の本音とみられますが・・・)
毎日新聞:内閣支持率―36%(5月調査から10ポイント下落)、不支持率―44%(9ポイント上昇)

共同通信:内閣支持率―44・9%(10・5ポイント急落)、不支持率―43・9%(8・8ポイント上昇)

朝日新聞:内閣支持率―41%(6ポイント下落)、不支持率―37%(6ポイント上昇)
特に気になるのは、調査対象全体の半数を占める無党派層の支持率が2割を割って、不支持率が49%に達している点です。支持・不支持がダブルスコア―です。さらに、予想されたこととはいえ、「加計学園」をめぐる安倍首相の説明に「納得できない」66%、内閣不支持層に限ると93%に達していることです。


私は、内閣支持率は一定の目安ではありますが、最重視はしていません。政局を展望するうえで重要な分岐点は、支持率と不支持率が明確に逆転する政治情況を判断のポイントと考えています。その意味では、「1強」のターニングポイントが危険水域にさしかかっているように見受けます。特に、大型選挙の帰趨を左右する無党派層の過半数が不支持というデータは、明らかに危険信号です。この数字は東京都議会議員選挙に「マクロン現象」となって端的に表れると私は予測しています。

但し、国政に関しては、従来と全く見解を異にするのは、「野党不在」の稀有な時代が続いている背景の存在です。だから内閣支持率の急変が自民党の支持率にさして影響していません。

現役の官僚が「役人の命に係わる人事を人質にするシステムをつくって脅すやり方には恐怖で身が縮(ちぢ)む。だからと言ってアレ(民主党政権)に戻るのだけはごめんだ。悩ましいんです!」と本音を語っています。
官邸の主たちが、野党不在に“安住”していると、市井の地盤に溜まっているマグマが破裂しないとも限りません。

9月の閣僚改造人事が立て直しのキィです。
今なら間に合う終列車!
(2017/6月20日 元内閣官房副長官)

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