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◎米教授、首相の設定課題を次々クリア

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◎米教授、首相の設定課題を次々クリア
  増税“先送りカード”へ理論武装
 民進党幹事長の枝野幸男が16日、「スティグリッツ氏から指摘されるまでもなく私も言っている」と得意げに発言しているが、カラスがライオンの吠え声を真似しても説得力は無い。首相でもないのに公明党の政調会長・石田祝稔が「今のところ予定を変える環境にない」と僭越にも発言しているが、これも超高度な経済判断が出来ないことを自ら露呈しているだけの話だ。事々左様にノーベル経済学賞を受けた“権威”の発言というのは重いのだ。その重い発言をジョセフ・スティグリッツから引きだした首相・安倍晋三は、着々と消費増税“先送りカード”を切る準備に着手したかのようである。そうでなければわざわざ「国際金融経済分析会合」などを設置する必要も無い。歴代首相と比較しても実に巧みな「政局運営」をするものである。急がば回れの政治手法なのである。
 安倍の設定した消費増税再延期へのハードルが、次々に除去されたのが16日の会合だ。まず「リーマンショック並みの事態が起きない限り延期しない」は、スティグリッツが「2015年は08年の金融危機以降最悪の状況だったが、16年はさらに弱体化する」と述べた事によりクリアされた。08年はリーマンショックのその年であり、現状は「リーマンショック並み」なのである。さらに安倍の条件「世界経済の大幅な収縮」についてはスティグリッツが「大低迷」と表現してクリアだ。さらに重要なのは安倍が会合の冒頭で「伊勢志摩サミットでは世界経済情勢が最大のテーマになる。議長国として各国首脳と突っ込んだ議論を行い、世界経済の持続的な力強い成長に向けて明確なメッセージを発出したい」と発言した問題だ。この「議長国の責任」は新たに設置したハードルだが、これもスティグリッツは「日本は非常に強い金融政策を実施して景気を刺激してきたが、それはもう限界に達しており、次に財政政策を取るということが重要だ。問題の根本的な原因の1つが総需要の不足であり、伊勢志摩サミットでは需要を刺激するような政策について各国で議論してほしい」と述べた。
 これは財政出動の勧めであり、発言は2月に上海で開かれた主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議(G20)の共同声明に沿ったものといえる。同声明は「金融政策のみでは均衡ある成長につながらない。機動的に財政政策を実施するべきである」と強調している。このスティグリッツ発言も、安倍にとっては、消費増税再延期を決断する後押しになるものに他ならない。消費税引き上げはまさにG20の声明に逆行するものになるからだ。サミット議長国としては世界経済の潮流を無視することはできまい。
 スティグリッツは「現在のタイミングで消費税率を引き上げるのは間違った方向になる。世界経済がこんなに弱くなることを予想できていた人はおらず、経済情勢が変わったなら、政策もその変化に対応していかなければならない」と言明したが、これも安倍にとっては我が意を得たりの発言に違いない。安倍は「景気が失速したら元も子もなくなる。日本を含めて世界の需要を作って行くことが重要だ」と応じている。毒づき枝野が増税再延期を「自らの経済運営の大失敗だと認めること」と批判しているが、民進党幹部は世界情勢の変化を度外視して、自ら想定すらしていなかったデフレからの脱却を安倍が成し遂げつつあることを、無視してはいけない。誰も想定外の経済情勢なのであり、民主党政権でデフレ脱却、企業の史上最高の利益、事実上の完全雇用を実現出来たかということだ。野党は派遣と正社員の格差を突くが、派遣すら雇用できなかった自らのふがいなさを恥じるのが先決だろう。
 こうして筆者が新年早々予言した政局展開、つまり増税再延期と衆参同日選挙に向けて安倍が着々と布石を打っている形が濃霧の中から浮き出るようになってきた。もちろん分析会合には慎重論も出ることが予想されるが、22日にはスティグリッツと同様にノーベル経済学賞受賞者で14年の消費増税延期決断に決定的な役割を演じたポール・クルーグマンが延期論を展開することになろう。これで分析会合の流れは決まる。どこかの半可通記者が増税延期と同日選挙を「憶測」と書き立てているが、臆測とは「物事をいいかげんに推し量ること」であり、今の政治状況で使う用語ではない。教えてやれば少なくとも「観測」であろう。朝日も読売も産経も用語に注意する新聞は「観測」としている。 


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