SSブログ

◎俳談

◎俳談
 【夕涼み】
 ◆甚平やよくぞ胴長人種たる 東京俳壇入選
  酷暑をやり過ごすには甚平にかぎる。胴長人種にはよく似合う。もっと楽なのはすててこだ。近ごろは柄のついたすててこが流行っている。キティちゃん柄のすててこもある。これをはいてゴミ出しにいくと女房に怒られる。江戸の俳人・基角の句に<夕涼みよくぞ男に生まれたる>があったことを今思い出した。掲句は知らず知らずに影響を受けていたと思うが、選者はもちろんそれを承知で採ったのだろう。類想性はあるが許容範囲と受け止めたのだろう。
 江戸時代は女性もおおらかであった。国宝納涼図屏風をみれば分かる。模写に挑戦して2週間かかった。詩情豊かなこの画の作者は,久隅守景(くすみもりかげ)である。主題のヒントは木下長嘯子(ちょうしょうし)の和歌<夕顔のさける軒端の下涼み男はててれ(ふんどし)女はふたの物(腰巻)>だが、実際には久隅の家族を描いたものだ。父と娘と息子だ。その後、父と同じ狩野探幽の門下で学んでいた娘・雪は同じ門下の男と駆け落ち。息子も吉原通いの度が過ぎた末に、喧嘩騒動を起こしたことが原因で佐渡に流される。その後家族が再会したかどうかは分からない。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。