俳談
◎俳談
【秋灯】
秋灯を引き寄せにけり古物商 毎日俳壇1席
秋の電灯の光は郷愁を誘う。秋灯ほど秋の季語で美しいものはない。筆者はひと秋に何句秋灯で作句するか分からないほどである。夜長の季節を、茶の間の電灯の下で家族それぞれが好きなことをしている昭和の風景が好きだ。<秋灯下セロ弾きゴーシュを妻の読む 杉の子>といった情景だ。
秋灯下言葉はいらぬ母とゐる 毎日俳壇入選
は、昔々の風景だ。針仕事が終わったら本を読んでもらおうと狙っているのだ。その子もガールフレンドが出来る年齢になると
秋灯を手元に寄せてその名書く 杉の子
こればかりは自分の部屋で恋文の宛名書きだ。
2013-08-30 07:01
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