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◎政府、敵基地攻撃能力保持へ見切り発車

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◎政府、敵基地攻撃能力保持へ見切り発車
  公明党の“神経逆なで”の形
  日米両国の防衛トップが日本の敵基地攻撃能力保有に向けての協力で合意したことは、集団的自衛権行使の容認とともに安倍政権が安保政策の大転換に見切り発車の形で踏み切ったことを意味する。日米両国は防衛協力のための指針(ガイドライン)策定に向けて調整を開始する。これほどの重大マターであるから本来なら合意に先立つ閣議決定が必要になるところだが、緊迫する極東情勢を考慮すればやむを得ない対応とも言えよう。自民党内は既に方針は了承済みだが、同方針に反対する公明党は“神経逆なで”の形となり、連立問題も含めて対応を迫られる。
 日本の敵基地攻撃能力については従来「米国が矛、日本が盾」の役割分担としてきたが、今後は日本が「矛」の 役割も分担する方向となった。日本の大きな方針転換の理由として第1に挙げられるのは今年春の北朝鮮による一連の挑発である。北はミサイルの発射準備を整えた上で、労働党機関紙で「東京、大阪、横浜、名古屋、京都には日本の全人口の3分の1が暮らしている。これは日本の戦争維持能力が一撃で消滅する可能性を意味する」と大都市の実名を挙げて核攻撃の威嚇を表明した。加えて北は米軍基地のある三沢や沖縄も攻撃すると威嚇している。米ソ核対決の時代でもこれほどの威嚇はなく、自民党筋は「中東ならこれだけで戦争勃発だ」と漏らしていたものだ。
 幹事長・石破茂も「北朝鮮からミサイルを撃たれて何万人が死んでからでは遅すぎる」として国民の生命財産を守る手段としての敵基地攻撃能力確保の必要を強調。第一撃甘受という受け身の姿勢を妥当としない方針を打ち出した。具体的な手段を含めて敵基地攻撃能力確保を明言したのだ。一方首相・安倍晋三は「敵基地攻撃について言えば、F-35Aにその能力がある。検討しなければならない」と次期主力戦闘機として逐次42機の導入が決まっているF-35Aを使う可能性に言及した。しかし安倍政権としては、公明党がやみくもに絶対平和主義の立場から慎重論をとなえていることには一定の配慮をする姿勢を維持してきた。7月に決めた防衛計画の大綱作成に向けての中間報告でも、敵基地攻撃能力への直接的な言及を避け、「弾道ミサイル攻撃への総合的な対応能力を充実させる必要がある」と指摘するにとどめたのだ。
 ところが28日の国防長官・ヘーゲルとの会談で防衛相・小野寺五典は大きく実現へとかじを切った。 小野寺は、北朝鮮が日本の大都市の名前や、アメリカ軍基地のある日本の地名を具体的に挙げて、威嚇したことを念頭に、「こうしたたび重なる威嚇に対して、日本として対応するためにはどのようなことが必要か、また、日米の役割をどうするか議論が必要だ」と述べるとともに、「打撃力についても慎重にだが、日米で検討していくことが大切だ」と発言したのだ。北朝鮮のミサイルによる脅威に対抗するため、自衛隊の敵基地攻撃能力の保有を日米で検討したいという考えを明確に伝えたことになる。ヘーゲルは、「日本が置かれている立場を理解している。日本の対応に協力したい」と述べ賛同した。ここに日本の敵基地攻撃能力保持で日米間の協力態勢が整ったことになる。
 小野寺としては今後日米ガイドラインの策定の最重点項目とする方針であり、1~2年かけて役割分担を含めた具体的な内容を決定する予定である。問題は集団的自衛権の行使すら「断固反対」(代表・山口那津男)としてきた公明党の対応である。同党は2009年にやはり敵基地攻撃能力の保持が問題になったときにも幹部が「体を張って阻止する」と息巻いて、連立離脱を辞さない姿勢を見せた。山口もさる5月に記者会見で「日米安保体制の下で対応するというのが基本で、この体制が内外のこれまでの予見を培ってきた」と述べ、従来どおり攻撃は米軍に委ねるべきとの姿勢を鮮明にさせている。この結果、勢い“政権内野党”のような公明党対策が不可欠の様相となっている。安倍は年末に防衛大綱を閣議決定する方針だが、日米防衛トップが合意した問題を大綱に盛り込まないわけにはいかないだろう。従って閣議決定が必要になるが、放置すれば国土交通相・太田昭宏が署名するかどうかの問題に発展しかねない。


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