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◎「鳩山継続」こそ自民党参院選勝利の道

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◎「鳩山継続」こそ自民党参院選勝利の道     杉浦正章
 前首相・麻生太郎が「民主党の落下速度が思ったより速い」と述べているが、確かに急落だ。内閣支持率が50%を割ってさらなる下降を続けるのは時間の問題だろう。しかし、半年後に迫った参院選挙で“ねじれ”を発生させる絶好の機会であるにもかかわらず、自民党の姿が見えない。まるで適応への障害が発生しているようで、政権奪回への展望を開こうとしない。党内から「鳩山内閣不信任案に値する」などというばかげた意見が出る。今こそ鳩山内閣は何がなんでも参院選まで存続させなければならないことが分かっていない。首相・鳩山由紀夫が続投し続けてこそ“ねじれ”が実現可能なのだ。ここにきて白日の下に照らされた「民主党不信の構図」を活用する大戦略がないのだ。
 前回の参院選も昨年の総選挙も共通しているのは自民党の敵失による民主党の勝利である。しかし立場は逆転した。鳩山の政権担当能力の欠如が露呈され続けているのに加えて、民主党への信頼度がマニフェストの事実上の破棄で喪失されつつあることだ。「党高政低」と幹事長・小沢一郎は得意満面だが、自分で自分の首を絞めていることに気付かない。要するに公約破棄の暫定税率継続と子供手当の所得制限、そして誰も気づかぬように党要望にそっと忍び込ませた「高速道路建設推進策」が首を絞めるのだ。とりわけ「高速道路建設推進策」は「コンクリートから人へ」の公約破棄につながる。一連の公約破棄はまさに「人からコンクリートへ」となり、マニフェストの理念を180度ひっくり返すことになるわけだ。
 テレビで若い母親が「生活設計が狂いました」と嘆いていたが、民主党の方針転換は国民をマニフェストで釣った“詐欺行為”に他ならない。いくら人のよい国民でも民主党の本性が顕わになったいま、今度は参院選で提示されるマニフェストを信用するだろうか。憶面もない天下り、姑息(こそく)な弥縫策(びほうさく)の伴う公約の転換、赤字国債増発ときたうえに、またまたおいしそうなばらまき公約を並べられても有権者は「もういい加減にしろ」と言うのが相場だ。加えて鳩山兄弟の限りなく“脱税”に近い母親資金の移転だ。無限に民主党への追い風が吹き続けることを前提にした小沢の参院選での過半数獲得戦略は、もろくも崩れつつあるのだ。それも自らの手によってだ。
 民主党に対しては冒頭に述べた「抜きがたい不信の構図」が定着しつつあるのだ。自民党にとってこれ以上の敵失はない。ここは参院でのねじれを達成するための大戦略を練るときだ。現在のところねじれは不可能視されているが、誰が民主党の308議席を予想できたか。まず第一に重要なのは、鳩山政権の維持である。日替わりメニューの鳩山発言と統治能力の欠如は3カ月ではっきりした。とても通常国会での本格論議に耐えられるとは思えない。論議を深めれば深めるほど、うんざりするほどの無能ぶりが露呈されてゆくだろう。早晩行き詰まるが早期に行き詰まらせては意味がない。参院選挙直前まで持ちこらえさせるのだ。そうすれば有権者の投票行動につながらざるを得ない。一時は民主党へとなびいた財界も、これはひどいと感じ始めている。このチャンスこそ財界との関係修復をはかるべき時だ。内閣不信任案提出は終盤国会でよい。これが第1の戦略だ。
 第2の戦略はぼろぼろになった選挙体制の早期修復と確立だ。精神面と組織面の両方で建て直すしかない。精神面では「戦う自民党」を前面に打ち出し、地方組織のやる気を出させることだ。幸いにも都道府県議会議員数では、自民党が圧倒的な優勢を保っている。第1党が自民党で1,413人。全定数の49.6%に達する。以下無所属(715人、25.1%)、民主党(228人、8.0%)、公明党(205人、7.2%)の順になっている。これを再統合してフルに活用するのだ。各県やブロックで参院選に向けて気勢を上げるのだ。
 第3の戦略は公明党との協力関係の再構築だ。小沢の創価学会と公明党嫌いは相当なものがあり、公明党も擦り寄ってもコケにされるのがオチであることは分かっているはずだ。いまや自民党幹部は公明党との選挙協力なしにはねじれの達成は不可能であり、これが大戦略の最たるものであることを知るべきだ。80年から10回の参院選挙をみると、自公合わせれば過半数に達する74議席は不可能ではない。政党が異なるから一概には言えないが、両党合計で74議席を上回るケースが5回ある。2回に1回は77議席から82議席に達しているのである。
 この3大戦略を基に参院でのねじれが達成できれば、政権奪回への早期解散・総選挙が可能になる。しかし、若干元気が出て来たものの、今の自民党の存在感は希薄だ。国会議員と地方議員が火の玉になって参院選挙を戦う態勢を作らなければ、いくら敵失のチャンスでも小沢の選挙には勝ち目はない。インテリ総裁・谷垣禎一にこの回天の事業が可能かどうか。


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