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◎政権の欺瞞性が白日の下に:鳩山内閣3カ月

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◎政権の欺瞞性が白日の下に:鳩山内閣3カ月      杉浦正章
 朝日新聞に筆者顔負けの政権批判記事が載るようになった。政権発足初期の“蜜月期間”は完全に終わった。鳩山政権3カ月で露呈したものは政権の持つ欺瞞(ぎまん)性にほかならない。それにとどめを刺したのが暫定税率の維持であり、子供手当への所得制限なのだ。鳩山は「一生懸命努力していることだけは認めていただきたい」と弁明したが、首相としての素質に欠けるものがいくら努力をしても結果は出ない。政権運営に慣れないのならまだ希望が持てるが、政権運営を首相以下この政権は知らないのだ。まさに「知らぬ同士が小皿叩いてチャンチキおけさ」を歌っているような政権であることが分かった。
 朝日は「明らかに約束違反」「これでは前政権の方がまし」「マニフェストを守れなければ選挙を行うと答弁してきた。その言葉の重さをかみしめよ」と暫定税率維持と子供手当への所得制限に厳しい解説を載せた。他紙を含めて政権発足以来これほど強い表現で政権を批判した例を知らない。筆者は首相・鳩山由紀夫には恩も恨みもないが、その欺瞞(ぎまん)性だけは無視できないとして、政権発足前から批判記事を書いてきた。ようやくマスコミの論調もそれに気づいてきたのだ。朝日の解説を書いた若い記者は、恐らく純粋に政治の変革を信じていたのだろう。それが裏切られた怒りなのだ。週刊朝日に至ってはもっと厳しい。「民主党不況で大失業時代へ」だ。民放テレビのコメンテーターたちも、論拠にしている朝日がこれでは“お追従”発言を繰り返すわけにはいくまい。
 3か月間で姿を現した政権の全容を解説すると、まず第1に鳩山の首相としての資質の問題が挙げられる。佐藤内閣以来の首相とつぶさに接してきたが、最低と思ったのが芸者問題でつぶれた宇野宗佑だ。しかし鳩山と比べれば宇野の方がまだましだ。統率力がないことに加えて、「綸言汗のごとし」を求められる首相発言がまさに日替わりメニューだ。“病的”とまで言い切れるぶれが外交・内政の路線を揺るがす。一般企業では「努力を認めよ」と社長が発言したとたんに、株主総会は大混乱に陥る。一方で自分の不利になることは、一切発言しない。献金疑惑が生じてから1度も首相としての説明責任を果たしていないのだ。まあ、歴代最低の首相と言えるだろう。
 第2の特色は幹事長・小沢一郎の「院政」による権力の二重構造だ。マニフェストの目玉を撤回するという大方針を政府主導で行えず、小沢の“助け船”を演出したことが、いみじくも物語っている。「党高政低」の構図は、鳩山の政治力のなさから言って無理もないが、権力を集中させた小沢が、天皇会見問題に見られるように高転びに転ぶ危うさを抱えている。鳩山が頼れば頼るほど共倒れの危険性を秘めているのである。
 第三の特色はマニフェストを憶面もなく覆す“二枚舌”政権である。政権発足以来選挙で約束した主要政策がことごとく破棄されている。天下りの否定は郵政社長人事で肯定、「財源は埋蔵金で捻出(ねんしゅつ)する」は実現不能、「赤字国債増発は責任取る」は史上最大の増発、そして暫定税率廃止は維持、子供手当には所得制限をつけてこれまでの児童手当に酷似。鳩山もさることながら閣僚の質の悪さも相当なものがある。最後まで暫定税率廃止のラッパを離さず、いまだに節約でまかなうと主張する財務相・藤井裕久。「ドバイショックによる経済への影響は、リーマンショックの時よりも大きい」と無知をさらけ出した文科相・川端達夫と言った具合だ。まさに「知らぬ同志が小皿叩いてチャンチキおけさ」だ。せめて「すまぬすまぬと詫びて今夜もチャンチキおけさ」にしてもらいたい。根幹に経済・財政ビジョンがないことが、決定的にこの政権の方向性をあやふやなものにしている。
 最後に外交・安保だ。これは自民党政調会長・石破茂が「マイナス点」と指摘しているが、マイナス点どころか落第点と言わねばなるまい。筆者が危険と指摘してきた「常時駐留なき安保」を、鳩山が16日「封印する」と述べたが、もう遅い。日米関係は戦後最悪の状況に陥った。外相・岡田克也は「日米関係以外はうまくいっている」と“自虐的”な発言をしたが、日米以外に何か外交課題があったかということだ。


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