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◎「申告漏れ」でとん走の鳩山戦略:偽装献金問題

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今朝のニュース解説(2日) Name:杉浦正章 HOME 
 
◎「申告漏れ」でとん走の鳩山戦略:偽装献金問題
 明らかに「脱税」を「申告漏れ」で逃れようとしているのが、首相・鳩山由紀夫の戦略だ。鳩山の国会答弁を分析すればこれまで数々の政治家が「脱税」と紙一重の「申告漏れー修正申告」で逃れてきた路線をたどっていることが分かる。しかし首相にとって問題なのは、総額11億円にものぼる鳩山家の資金提供の額だ。これを「知らなかった。驚いている」で言い逃れることが可能だろうか。東京地検が人気の高い首相だからといってちゅうちょしたら、御政道の正義は成り立たない。
 参院本会議の鳩山答弁は母親からの資金を「知らなかった」ことを前提に①国民の納税義務は承知している②国民としての義務を果たすのは当然③資金提供があったら法に照らして適切に対応、というものだ。簡単に言えば「秘書がうっかりミスしましたので修正申告します」ということだ。しかし首相答弁は軸となる2つの点で破たんしている。1つは「知らなかった」だ。母親からの資金提供は02年の民主党代表選挙後に始まっている。代表としての交際費が重なり足りなくなったので元公設第1秘書が「独断」で母親と交渉、月1500万円の提供を受けることになったという筋書きだ。しかしいくらアバウトでも秘書が鳩山自身と相談せずに、巨額のカネを例え母親からでも提供を求めることは論理的にあり得ない。かならず鳩山に相談しての対応だろう。
 次ぎに単に「申告漏れ」で逃れるには額が大きすぎる。どう見ても相続税または贈与税回避のための、政治資金団体を経由した母親の資金移転である。元秘書は毎月現金で母親から資金を受け取っていたというが、これも不自然だ。口座経由では、ばれる恐れがあることを認識していた証拠だ。申告漏れとは、税務署と納税者との見解の違いによって、納税額に差が生じ、訂正するケースだが、とても額が大きすぎて「見解の相違」などで言い逃れができるものではない。当然重加算税の対象にもならざるを得ないだろう。
 常識的には首相と秘書が連携を取った「脱税」疑惑が濃厚となる。問題は地検がそこを突くかどうかだ。各紙報道によると東京地検特捜部は、首相本人に対する事情聴取を見送る方針を固めたもようだという。ただ首相の見解をただす必要があるとして、上申書の提出を求める方向で検討しているようだ。首相側は上申書を国会答弁の線で出すに相違あるまい。しかし首相の「知らなかった」発言は聴取なしでは覆せないのではないか。またいったんは濃厚だった首相の実母(87)の事情聴取を見送る方針だという。秘書の在宅起訴といいどうも地検の腰が引けているとしか思えない対応が出てくる。まさか地検に政治圧力がかかっているとは思いたくないが。
鳩山は参院本会議で、「私に対する司法の判断を待ち、その結果に基づき、首相としての使命を果たしたい」と発言した。これは、自身の刑事責任が問われなければ続投する意向を表明したともいえる。自身の刑事責任の有無という判断基準を設定して、「秘書の責任は政治家の責任」のブーメランをかわそうという姿勢だ。しかしたとえ「申告漏れ」で逃れ得ても、世間の認識は「脱税」となるだろう。大津波はいずれにしても襲いかかる。鳩山がこの窮地を脱出するのは容易ではない。


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