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◎今度は朝日の社説の内容が問題だ

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◎今度は朝日の社説の内容が問題だ
 さすが大朝日だ。懐が深い。昨日の筆者の「書かざる朝日」の指摘に答えるかのように、鳩山政権のアフガン支援策で社説を出してくれた。「できることを大胆に」と言う見出しで小切手外交の批判は「的外れ」と断定、鳩山支援策を支持している。しかしこの社説には致命的な破たんがある。一方で50億ドルの支援規模を批判しているからだ。巨額だからこそ“小切手外交”なのであるという論点を見落とすか無視している。加えて紙面全体で見ても「政策ウオッチ」では「50億ドルという巨額の根拠は」と強い批判記事を掲載している。まさに紙面が分裂状態となっている。
 社説は「民生面での支援に思い切った資金を提供するという政府の判断は理にかなっている」として、読売、日経、産経各紙の「小切手外交批判」に真っ向から反論している。しかしその最大の論拠が「日本ができること、すべき事を外圧によるのではなく日本自らが冷静に考えるべきだ」との点に置いている。これが急所だ。社説子は支援額決定に至る問題の本質を捉えていない。紛れもなく巨額の支援策はオバマ来日という“外圧”への対応なのである。ただでさえ「脱米入亜」が指摘されるなかで、普天間移転問題も先延ばし、給油も中止では、オバマ来日すら危ぶむ見方が生じた。度重なる米政府高官のどう喝とも取れる発言もあって、とても日米関係が持たないと鳩山内閣が判断しての決定なのだ。外相・岡田克也の発想には明らかに問題を「巨額なカネ」で解決という安易さがあった。加えて米国の支援策への関与を求めた岡田発言により、社説の主張する「日本自らが冷静に考える」ことはできず、“外圧”をもろにかぶる方向となっている。社説子は岡田・クリントン会談の記事を熟読すべきだ。
 論理の矛盾はまだある。社説は「50億ドルという支援規模は、具体策を積み上げた結果ではない。オバマ大統領の訪日を控え、給油をやめることに理解を得るための、まず総額ありきの決定だったのも否めない」とこんどは批判しているのだ。これは政府の判断が「理にかなっている」とした表現と明らかに矛盾する。他紙は総額が湾岸支援の半額という巨額だからこそ
“小切手外交”と批判しているのである。巨額でなければそう書くわけがない。巨額の根拠が「人は出さずにカネを出す」という小沢一郎主導の湾岸支援策の際と完全に一致しているのだ。社説は「兵員を派遣している米国などの努力を側面から支えることにもなる。米大統領報道官がさっそく歓迎する声明を出したのも、そうした文脈からだろう」と珍しく米国の歓迎を論説の補強材料としているが、いまどきアフガンの泥沼に50億ドルも、それもどんぶり勘定で注ぎ込む国はない。喜ぶのは当たり前だ。
 一方、同紙の「政策ウオッチ」では「外務省は自己破産するのではないか」との書き出しで「50億ドルという金額の根拠は何なのか。オバマ大統領の来日を控え、米国を意識したという以上の理由は見えない」と書いている。これこそが正常な状況判断なのだ。米国を意識した以上の「理由はない」とは、米国の“外圧”を“意識”して“小切手外交”に戻ったことを意味するのだ。政策ウオッチのような判断を無理にねじ曲げようとするから、社説に矛盾が生ずる。 


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