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◎朝日新聞の「書かざる」問題

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◎朝日新聞の「書かざる」問題
 米国務長官・クリントンがもろ手を挙げて外相・岡田克也に感謝の意向を表明した。それはそうだろうこの大不況期に50億ドルものアフガン支援策を獲得できたのだから、普天間の移転が若干遅れようが何の痛痒も感じない。大統領・オバマ訪日の最大の土産だ。この紛れも無き小切手外交の復活に全国紙は、極めて批判的な論調を社説で展開している。しかし、自民党政権の湾岸戦争130億ドル支援では、小切手外交の大々的批判を展開した朝日新聞は、社説ではなぜか触れぬままだ。検索エンジン「アサヒ・コム」で「小切手外交」の文字を探しても一切現れない。鳩山政権に不利な論調は書かないことで徹底しているように見える。
 5年間で50億ドル(約4500億円)の民生支援は、従来の支援額と比べ、単年度平均で約4倍だ。年間0.7億ドルで済んでいた自衛隊の給油活動費の“身代わり”となるわけだから、クリントンも満足するわけだ。会談の最重要ポイントは、岡田がクリントンに「支援策作りにあたっては、日米間で連携したい」と約束してしまったことだ。これは米国の思惑が入った支援を行うこととなる。「人は出さぬがカネは出す」の小切手外交に、まさに“ごますり外交”も併せて復活した形に他ならない。湾岸戦争で海部政権が幹事長・小沢一郎の主導の下に130億ドルの小切手を切り、それがどこに使われたか行方不明のままであったことを想起させる。いまだにキックバックがあったとのうわさも絶えない。社説で読売が「その具体的な使途について、政府は国民に十分に説明することが求められる」、また毎日が「これだけの税金を投入する以上、政府は支援内容の到達点などを定期的に国民に報告し、透明性を確保すべきだ」と指摘しているのは、過去の苦い経験を基にしているからに他ならない。社説に「小切手外交」の文字を躍らせたのは読売と日経。「小切手外交に戻るのか」(読売)、「やはり『小切手外交』を繰り返すのか」(日経)と批判。産経も「湾岸の教訓を忘れたのか」だから全く同じ。毎日はトーンは弱いが「給油活動中止や、治安悪化で人的貢献が限られることの代償として米側と折り合った結果とみられる」と批判的だ。
 これに対してこの問題を意図的に無視しているように取れるのは朝日の扱い。朝日はそもそも民生支援を主体とすべきとの論調だ。10月14日の社説では首相に「民生を主体とする貢献策について、オバマ氏に十分説明し理解を求めるべきだ」と支援策の拡充を勧めている。しかし支援策が決定された11月10日の夕刊では読売が一面で大きく報じて、2面の解説で「小切手外交」を指摘しているのに対し、朝日はなんと6面に追いやってたんたんと報じているだけだ。以後、社説でも取り上げていない。アフガン給油に代わる鳩山政権のこれだけ大きな方針転換、しかも50億ドルという血税が使われるというのに、社説が一切触れないのはどういうことだろうか。自らが勧めた結果、小切手外交が復活してしまって書くに書けないとしか思えない。中立を標ぼうするマスコミには偏向記事を書く罪と、あえて何も書かざる罪があるが、この場合後者に適合する。あまりに政権支援が見え見えであり、自らの綱領にうたう報道の中立の文字が泣く。いっそニューヨークタイムズのように民主党支持を堂々と標ぼうしてはどうか。 


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