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◎「小泉再登板」「内閣改造」説を分析する

今朝のニュース解説(10日) Name:杉浦正章 
 「カチカチ山のたぬき」と言われてしまった首相・麻生太郎が、起死回生の手を打てるかどうかが政局の焦点だ。しかし、ささやかれている内閣改造で窮地を脱せられるかというと疑問だろう。それよりも面白いのはここ1週間ほど、永田町で流れている「小泉純一郎再登板」説だ。日本郵政人事で怒り心頭に発した小泉が、政界を引退せずに選挙に出馬するというのだ。政治家続投となれば「麻生降ろし」への影響は必至だ。小泉に差し替えて支持率を挽回しようという動きが出る。しかし、眉唾的な側面もある。きょうはあえて“眉唾情報”に焦点を当ててみる。「瓢箪から駒」がないわけではない。
この永田町情報を、しっかりした報道機関が報じたのは9日のTBSが最初だ。ニュースキャスター後藤謙次が7時のニュースで「思わぬうわさ」と前置きして「小泉元首相がいったん表明した政界引退を撤回して、再び選挙に出る話しがある」と述べたのである。「最近の小泉さんはオーラがあり迫力がある。とてもただでは済まないのではないか」とも付け加えた。後藤と言えば生え抜きの政治記者で共同通信の編集局長まで努めている。只の情報源ではあるまい。小泉は「首相にふさわしい政治家」の世論調査で、いまだに高支持率がある。安倍晋三が辞任したときも、福田康夫が辞任したときも再登板説が流れた。強いリーダーシップもあり、この時点で自民党が「回天の大事業」で小泉を復活させられれば、大敗がささやかれる総選挙をかなり挽回できる可能性がある。
 しかし、いったん息子に引き継ぎを表明して、選挙区は動き始めており、比例区で出馬するつもりだろうか。また総選挙にこの時点で出ると決意することは、政治的には自民党総裁への再登板を目指すと受け取れる。自民党内は小泉改革への不満がうっ積しており、「小泉人気」だけで党がまとまるかどうかと言えば、困難だろう。それこそ分裂含みとなる。問題はこの超ウルトラCをこの時点で自民党が処理できるほどの体力・気力が残っているかどうかである。だから眉唾となる。
 もう一つの眉唾は内閣改造説だ。行政改革担当相・甘利明も9日「こういう日本をつくるにことを表現するに当たり、人事として国民に示すことはひとつの手段」と肯定的な発言をした。しかしささやかれる構想は、日本郵政人事にからんで鳩山邦夫を辞めさせる手段に使おうというのだから恐れ入る。29日の日本郵政の株主総会に先立って改造を断行、総会後直ちに解散して8月選挙という筋書きだそうだ。確かに鳩山問題、与謝野馨の3相兼務、小渕優子の妊娠、西松がらみの二階俊博の問題など、改造すべき要因はある。しかしいくら日本郵政とは言え、一民間会社の社長人事で内閣改造までするかという事だ。末代までの笑いものになる。だいいち内閣を改造してもトップがそのままでは、支持率の好転などとても望めまい。あるとすれば延長国会後だろうが、改造して直ちに総選挙では、有権者の目に思惑がありありと映り効果は出まい。小泉再登板も改造も自民党末期のあがきであろうが、ひょっとするとひょっとする。







[2413] 今朝のニュース解説(日) Name:杉浦正章 ◎止まらぬチェンジの風
 チェンジの風が止まらない。「西松問題」のダメージから民主党はほぼ完全に回復した。民主党の政党支持率ががあらゆる世論調査において回復傾向を維持している。期待する政権も「民主党中心」が「自民党中心」を圧倒しており、衆院選挙前にかって見られなかった現象である。過半数を民主党だけで獲得できるかどうかは微妙だが、比較第一党になり政権に向けての政界再編の主導権を握りそうな気配である。自民党の残された道は、下野も視野に入れながら、連立で過半数達成になお望みを託す方向だろう。
 首相・麻生太郎が都議選候補全員の応援に乗り出したことが象徴するのは、既に衆院選挙の火ぶたが切られたということだろう。折から有力報道機関の世論調査結果が公表されたが、NHKの政党支持率調査は自民27%、民主24%でその差が「西松問題」以前の1月の時点に戻っている。小選挙区制はリーダーの人気が左右する要素が大きいが、首相にどちらがふさわしいかでは麻生17%、鳩山が33%。読売は、麻生33%、鳩山44%といずれも差が10ポイントを上回った。この傾向の意味するものは小沢一郎の第1秘書逮捕に始まった「西松問題」の影響を代表交代を機に民主党が離脱して、有権者の「政権交代志向」を背景に極めて有利な状況に移行しつつあることを物語っている。
 まだ、報道機関などの衆院選動向調査が出ていない段階でありるが一定の方向を読むことは不可能ではない。元財務相・塩川正十郎の分析が意外に良い線をいっている気がする。塩川によるとまず最後まで不明が30議席、自民、民主両党以外の政党が全部で50議席。合計80議席を除いて、残る400議席を自民、民主で分け合う。自民党は180議席から200議席。民主党は220議席から30議席で不明の30議席の動向が大きなウエートを持つというのである。民主党選対委員長の赤松広隆の分析とも似ている。赤松は「比較第1党は取れるが、単独過半数には足りない。現在は社民党や国民新党、無所属などと合わせて過半数の241議席をクリアしている状況ではないか。自民党は200前後か、ずっと落ち続ければ190ぐらい。民主党は今の時点で220ぐらいはいっている。どっちが勝っても30、40議席の大差はつかない」と分析している。
 この傾向が意味するものは、たとえ小選挙区で自民党が善戦しても、比例区をバネに民主党が躍進しそうな状況であることだ。背景には、米国で起きたのと似たチェンジの風潮がある。三代続いた迷走首相への不満、消えた年金に象徴される失政、そしてなによりも大不況などが、未曾有の自民党離れを引き起こしている。それが投票行動に直結しそうなのだ。うっ積した不満をガス抜きのように総選挙ではらす流れだ。本来“保守バネ”に作用した高齢者層も「後期高齢者医療制度」で離れたままである。一度ガス抜きをしないとおさまらない政治状況が現出している。これが日本の将来にとって吉と出るか凶と出るかは誰も分からない。中曽根康弘が民主党の政権担当能力について8日、「国を背負う力と素質は十分ではない。日本に相当な混乱が起き、その混乱に外国がつけ込むことにつながる心配がある」と分析しているが、その通りだ。オバマ政権のように希望へのチェンジと言うより不安へのチェンジの色彩が濃厚だ。
 








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