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諸行無常の鐘が鳴る - 『 ゴーン 』

諸行無常の鐘が鳴る - 『 ゴーン 』
(社)安保政策研究会理事長 浅野勝人

秋、恒例―北京の名門大学3校の講義を終えて戻ったら、日がな一日、TVから「ゴーン」「ゴーン」と鐘の音が聞こえます。
何事かと思いきや、日産のゴーン会長が逮捕されたそうな!
急いで、自動車業界を半世紀ウォッチングしてきた老朋友に電話して「日産 よくやった。アッパレ!」と申しましたら「あいつは日本人をバカにしていた。思い知ったか!」と彼は言いました。
東京地検特捜部、久しぶりの金星です。
実際に受け取った報酬を80億円過少に申告したことを捜査の端緒にして、特別背任・業務上横領を徹底的に洗い出して、全額返済させる。応じなかったら実刑重罪。日産は、回収したお金を日本在住の株主に限定して配当金に当てたらいい。株価上昇、大ヒットになります。
ルノーは実力を蓄えた日産との連携を反故にされたくない。冷静な話し合いによって、対等且つ相互尊重のアライアンスをまとめるチャンスです。日産・ルノー双方の代表団による協議は、ゴーンがいない方が過去にとらわれず、将来に向けた建設的な結論を得やすいはずです。

中国での講義は、いつもの北京外国語大学(東京外語大に相当)、首都師範大学(筑波大に当たる)、ことしは外交官を養成する大学、「外交学院」から初めて招かれました。外交学院は、周恩来総理の肝入りで創設された大学で、初代学長は、周恩来の右腕だった陳毅でした。正門の「外交学院」の文字は、自らの署名を添えた周恩来の直筆です。正面玄関には陳毅の銅像があります。外相というよりは人民解放軍創設者のひとり、誉れ高き武人の佇(たたず)まいでした。
どの大学も生徒は日本語学科の学部4年生と大学院生。外大と外院のテーマは「朝鮮半島非核化と日中の役割」 師範大は「日中協調の課題―環境と人口問題」です。3大学とも通訳無しでOK。驚きです。

トランプ大統領の批判をすると、喜ばない人はいないというのが今の中国だと私は感じていました。教養あるインテリ経済人と話していた折、話題がことトランプに及んだ途端「あいつは気違いだ」とわめきました。出口の見えない米中貿易戦争のあおりだと思います。
今回の大学の講義で、事実に基づいてドランプ大統領の政治姿勢、政策、思想信条、人物像について分析した後、「ドナルド・トランプは、世論を煽(あお)るデマゴーグの天才に過ぎない、現実主義者の不動産王なのか。歴代の大統領が誰もなしえなかったタブーに次々と挑む勇気ある指導者なのか。どちらだと思いますか」と10人の学生に質してみました。一人くらいは、へそ曲がりがいて「勇気ある指導者」と答えるかもしれないと予測していました。
結果は、不動産王6人、勇気ある指導者4人でした。
他に挙手をして、「両方兼ね備えているのでわからない」と答えた学生がいました。
若者の冷静且つ間口の広い判断に、私は予想をひっ繰り返されて一瞬言葉を失いました。
そして中国の未来は明るいと思いました。

それなのに、帰りの空港の通関のせいで、今回も「中国へ行く気が失せた」と失望させられました。
自宅へ帰ってトランクを開けたら、携帯電話の蓄電池が無くなっていました。没収したという用紙が入っていました。縦横4センチ、高さ2センチの10年以上も前の物で、没収しても役には立たない代物です。もちろん危険性は皆無。何のための没収か理解に苦しみます。もうひとつ、航空運賃は、区間ごと、クラスごとに定額料金を決めるべきです。国交省航空局に航空会社を指導するよう要請します。
今回、ANA・全日空、羽田~北京往復料金、18万6730円。これまで数十回の経験によれば、これはビジネスクラスの料金です。だから私はビジネスクラスのつもり。ところが行きも帰りもぎゅうぎゅう詰めのエコノミー。エコノミーなら往復8万円位が相場です。ANAに酷いと苦情言ったら、料金は便ごとに乗客の混み具合によって決まる、その時、その時の相場だから仕方ないという。
これチョットぼったくり!
(2018/11月24日、元内閣官房副長官)

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