SSブログ

◎党首討論は存在意義を問われる、抜本改革を

◎党首討論は存在意義を問われる、抜本改革を
  枝野は「演説」する場面ではない
 与野党党首が党首討論の歴史的使命が終わったと言うのだから、本当に終わったに違いない。党首討論は英国の議会を参考にして自民党幹事長の小沢一郎が主導、大局的見地から質疑をしようと2000年に始まったものだ。しかし、最初から指摘されていたが討論時間が45分間と短く、ほとんどの党首が自らの主張を繰り返すにとどまり、一問一答型の紳士的な質疑応答によって、国政に新風を吹き込むという構想からは、ほど遠い形となってしまった。各党の思惑が空回りするばかりで、存在意義が問われる事態だ。
  そもそも党首討論のあり方を否定したのは立憲民主党・枝野幸男が最初だ。前回5月の討論後、枝野は、首相の答弁が長いことを理由に「今の党首討論はほとんど歴史的使命を終えた」と語った。これを27日の討論で取り上げた首相・安倍晋三は「枝野さんの質問というか演説で感じたが、前回党首討論が終わった後、枝野さんは『党首討論の歴史的な使命は終わった』と言った。まさに今のやりとりを聞いて、本当に歴史的な使命が終わってしまったなと思った」と述べた。枝野は「安倍政権の問題点を7つ列挙したい」として、短い15分の質問の7分を使って森友・加計学園問題の問題点を延々と並べ、「演説」を行った。これでは大所高所からの討論ではなく野党の演説会になってしまうのだ。枝野が党首討論をマスコミ受けに“活用”しようとしたのは言うまでもない。
 こうした討論のやり方には疑問がある。第一に挙げられるのは討論時間の短さだ。首相の答弁を含めて45分間では、1日に7時間から8時間も質疑を行う予算委員会の集中審議と比べても短すぎる。各党首の質問も数問で終わってしまう。加えてイギリスの質疑は紳士的な傾向が強いが、日本の場合は政権を陥れるような質問が繰り返される。27日も共産党委員長・志位和夫の暴言が目立った。志位は「愛媛県と今治市で加計学園への補助金は50億円から93億円に膨れあがった。首相の『腹心の友』加計孝太郎理事長が経営する学園が首相の名をたびたび使い、巨額の税金をかすめ取っていたのではないか」と発言した。「かすめ取る」とは下卑極まる表現だが、安倍は 「補助金は県と市が主体的に判断することだ。私はあずかり知らない」と全面否定した。事程左様に理性に欠ける質問に、応答をするわけだから、とてもイギリス議会を手本にした紳士的討論とはほど遠くなるのである。枝野や志位に比べて国民民主党共同代表の大塚耕平が、外国人労働者問題を取り上げたのは建設的であった。外国人労働者の受け入れ拡大は、国の政策の大転換であり、安倍からも外国人労働者受け入れに前向きな答弁を引き出した。
 だいたい自民党執行部の感覚も疑う。極東情勢を見れば北朝鮮をめぐってトランプと金正恩の動きが活発化し、日本はまごまごすると潮流に乗り遅れかねない側面がある。にもかかわらず野党の提案に乗って1年半も論議して、何の疑惑も政権を直撃していないモリカケ問題を取り上げることに応じてしまったのである。ここは、大きく極東の安全保障の構図を変えかねない北朝鮮問題やトランプ外交への対応など、国家の命運に関わる外交安保問題を取り上げるべきであった。
   党首討論も確かに現在のやり方では、予算委質疑へのプラスアルファ的な側面ばかりが目立つ。質疑時間といい、内容といい、真に与野党が対話を通じて国の政治を切磋琢磨する場に変貌させる必要があることは言うまでもない。たっぷり時間を取って首相が野党に質問しても良いではないか。抜本的な党首討論改革に与野党とも取り組むべきだ。

◎俳談
【昼ビール万歳】
落花生両手で砕きビール汲む 杉の子
 藤沢という街は湘南ムードもあって明るくて洒落た街だ。駅前の地下街に日本一うまい中華そば屋がある。「古久屋」という名前だが、なぜ日本一かというと、特に理由はない。他にうまいところを知らんからだ。江ノ島水族館でクラゲの写真を撮ったあとは必ずこの店に寄る。クラゲの撮影を10時45分で切り上げると、ちょうど開店の11時に間に合う。なぜ知ったかというと娘が高校時代しょっちゅう通って「特焼きそばにお酢をどばっとかけるとおいしい」と言っていたからだ。
 この店で気付いたのは湘南というのは昼からビールを飲むことだ。私のような上品な白髪の老人が、一人手酌で焼きそばを前に一杯飲んでいるかと思えば、老夫婦が湯麺を啜りながら一杯飲んでいる。昼ビールのうまさは格別なことを知っているから、一度真似してみたいと思っていたが、気が弱いから一年ばかりちゅうちょ。昨日思い切って決断した。決断だから注文の仕方も並大抵ではない。つい「ちょっと、ビール」とかん高い声を出してしまうのだ。店員は何で興奮しているのか分からないから、怪訝な客だと思っても顔に出さずに「はい」と受け止める。こうして決死の覚悟の昼ビールがのどをごっくんと通過したのだ。現役時代に一所懸命に働いて、今は自由の身。「世間よざまあみろ」と内心思うのだ。そして小粋なる湘南っ子の顔を装って、大和市のイモ爺さんが、またとくとくとくとビールを注ぐのだった。
ひたすらにビールを思ひ庭仕事 杉の子
DSCN6369_00013 (2)j - コピー.jpg

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。