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◎俳談

◎俳談
 恋の句は短歌のようにべたべたしない。さりげなく表現して、それと表現する。
人込みに紛れまた見ゆ冬帽子 杉の子
逢引の場所に見慣れた冬帽子がやって来る。わくわくする気持ちを表現した。あくまで好きだの、愛してるだのの表現は避ける。内在する気持ちは表現せずに“それとなく”恋を読むのだ。
 鞦韆は漕ぐべし愛は奪うべし 
 三橋鷹女の句だが、鞦韆(しゅうせん=ぶらんこ)は漕ぐのがあたりまえだ。愛も奪うのが当たり前だ。と言いきって、愛の本質を描き出している。当時評判だった有島武郎の評論「惜しみなく愛は奪う」を我田に引水したものである。
走馬灯息ある限り女追う 杉の子
男の本能を詠んでみるとこうなる。放蕩でも女道楽でもない。走馬灯の馬が追い続けるように男は女を、女は男を死ぬまで追い続けるのだ。
妻二タ夜あらず二タ夜の天の川      
中村草田男の新婚時代の「妻恋」の句だ。二晩も妻がいない。天の川を見ては溜息を漏らす。そんな情感に満ちあふれている。
 

◎「力の平和」で中国の「新型大国関係」を否定

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◎「力の平和」で中国の「新型大国関係」を否定
  日米対中露の対峙色一段と濃厚に
 トランプの国家安全保障戦略
 首相・安倍晋三は、トランプから国家安全保障戦略で「公平な責任分担」を求められるやいなや、“音よりも早く”イージスアショア2基の導入を閣議決定した。いやはやその猛スピードには驚いたが、これで日本の安保戦略は画期的に強化されることになったのは確かだ。トランプの戦略はその用語の稚拙さから一見「思慮不足と独善」(朝日社説)であるかのように見えるが、浅薄な見方だ。背後には大きな安保・外交観があり、弱腰のオバマとは一線を画すものとなった。その中核は対中戦略とこれと密接に関連する対北朝鮮戦略だ。トランプ戦略は訪中時とは打って変わった厳しさで中国を「修正主義勢力」と断定、習近平による「新型大国関係」を否定した。極東情勢は日米対中露の対峙色をいよいよ深める流れとなった。
 トランプは世界情勢を大きくとらえて「帝国主義的な領土拡張競争は、過ぎ去った過去の現象のように片付けられるが、強国同士の競争は再燃している」と分析した。1990年の冷戦終結以来、米国は唯一の超大国として独走を続けて来たが、中国は経済力を背景に軍拡を続け、今や軍事大国と化しており、トランプの分析はうなずけるところだ。
 焦点の北朝鮮への対応についてトランプは「同盟国との関係強化によって対処する」「公平な責任を負う同盟国との協力によって我々の力は増す」と発言した。日本への名指しはなかったが「公平な責任を負う同盟国」という言い回しは「同盟国との間で我が国は不公平な負担を強いられてきた」という発言と合わせれば、日本を意味する事は間違いない。北大西洋条約機構(NATO)とは軍事費分担増強で合意に達しており、明らかにGDP1%以内にとどまる日本への分担要求である。これに安倍政権はまずイージスアショアの導入で応えることになる。
 イージスアショア導入はこれまでのイージス艦とPAC3で北のミサイルを防衛する方式に加えて導入されるもので2023年頃の運用に向けて秋田市と萩市の自衛隊基地に設置される。早くも両市には民放にけしかけられて反対の声が出ているが、物事を大きく見るべきである。北の核ミサイルが一発でも東京に撃ち込まれれば秋田も萩も事実上立ちゆかなくなるのであり、他人事では更々ない。ただ一基1,000億円はポーランドが800億円で購入しているのと比べて、どんぶり勘定のようだ。ふっかけられているのではないかと感ずる。交渉すべきだ。さらに日本はイージス艦の増強、離島奪還のためのオスプレイの購入などを勧める方針だが、極東情勢はまさに臨戦状態にある。この際導入を進めると共に、敵基地攻撃能力も早期に実現すべきであろう。
 朝日は20日付社説で「日本の役割は『力の平和』に加担して軍拡になびくことではない」と批判しているが、社説子は極東情勢を大きく見誤っている。北の独裁者が核兵器やミサイルの実験を繰り返し、「日本列島を沈める」と暴言をはばからない幹部がいるときに、「座して死を待つ」のが得策なのか。相変わらずの平和は天から降ってくる式の左翼論調は、もう時代にそぐわない事に気付くべきだろう。米国の「力の平和」を否定するなら、金正恩の「力による極東支配」は放置してよいのか。
 注目すべきは、対中・対露関係での厳しい姿勢であろう。トランプは中露を「米国の戦略的な競争国」「米国の力に挑戦する現状変更勢力」と位置づけた。前大統領オバマは中露との協調姿勢で国際情勢の安定化を目指したが、トランプはオバマが弱腰でつけ込まれたとの判断に立って、打って変わった戦略上の大転換をしたのだ。オバマの国際協調路線を全否定したことになる。中国に対しては「南シナ海の軍事拠点化などを通じて米国に取って代わろうとしている」と露骨に批判した。これは習近平が「太平洋を二分割した新しい大国関係」を主張していることに冷水を浴びせかけたことを意味する。日本にとっても中国に目立つ「新興大国の増長」を戒める発言であり、歓迎すべきところであろう。ロシアに対してはウクライナのクリミア併合後の動きに神経をとがらせた。ロシアゲートで痛い目に遭っているトランプは、対露接近に懲りたのだろう。
 こう見てくるとトランプの「全ての決断と行動はアメリカ第1主義だ」とする発言は、唯我独尊ではなく、結構広く目配りがなされているものなのだと思う。

 
 

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