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◎俳談

◎俳談
【嬉い、悲しい、寂しい、美しいは使わない】
夢の世に葱を作りて寂しさよ 永田耕衣
 使わないと言いながらなぜ例句に使った句を掲げたかである。「寂しさ」を使って人生の寂寞感をこれだけ語る句は珍しいからだ。
人生における諦観すら覚える。しかし初心者が感情を表す言葉を使うとそうはいかない。概して下手の見本のような句になる。コツをつかむまではやめた方がいい。嬉しいもそうだ。
雪熔けて雪踏(せった)の音の嬉しさよ 正岡子規
なぜプロが使うと秀句になるかと言えば、寂しさ、嬉しさをくだくだと説明していないからだ。拙句の
淋しさも茶柱と呑む炬燵かな 東京俳壇入選
も許される部類だ。
寂しいという言葉を使わずに現した拙句を挙げれば
ときめきてすぐあきらめて石鹼玉 読売俳壇1席
帰りくる霜夜の妻の肩小さし 東京俳壇入選
といった具合となる。言わなくても寂莫感が十分に伝わると思う。

◎愚かなる新聞の首相演説批判

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◎愚かなる新聞の首相演説批判
   分量多きが故に尊からず
  ゲティスバーグ演説は2分
 一刀両断で首相・安倍晋三をグーの音も出なくする記事は一本もなかった。所信表明演説に関する全国紙全ての記事を詳細に分析したが、全紙が重箱の隅をつついて、まるで小姑の嫁いびりみたいな記事ばかりで、愚かであった。地に落ちた。最近の全国紙の記事はどの社を見ても“金太郎飴”記事ばかりだ。切っても切っても同じ顔しか現れない。記者クラブ制度の悪弊でもある。毎日や日経などネットにかなり先行露出する記事がリードする場合もあるのだろう。若い政治記者諸君に告ぐ。いいかげんに「交差点みんなで渡れば怖くない」から脱せよ。
  まず記事や社説で全紙が批判しているのが、所信表明演説の北朝鮮をめぐる部分が総選挙での首相演説と同じだというものだ。朝日は「外交成果を誇る大半が、衆院選や一連の外交行事ですでに語ったことの繰り返しに過ぎない。」と宣うた。読売も「北朝鮮問題など衆院選で取り上げたテーマが大半で、新味に乏しかった」という。毎日は「北朝鮮問題、少子高齢化の克服という、衆院選で訴えた『二つの国難』をほぼなぞった」だそうだ。この論調から見れば、間違いなく全紙が、新しいことを言わなかったからけしからんと言っている。佐藤愛子のエッセイ「九十歳。何がめでたい 」風に開き直らせてもらえば、「衆院選と同じ。何が悪い」だ。それとも衆院選での発言を低く見ているのか。ばかも休み休みに言え。衆院選での発言は政治家の命がかかっているのだ。本気なのだ。若い記者共は一体所信表明演説を何と心得ているのだろうか。国の重要政策を国会議員に訴え、その賛否を問うのが基本だ。北朝鮮で安倍は「日本を取り巻く国際環境は戦後もっとも厳しいと言っても過言ではない」と述べたが、それ以上に何を言えというのか。新聞が喜ぶことを首相に言えというのは筋違いも甚だしい。「戦争するぞ」とでも言えば一面をぶち抜くような大見出しがとれるが、そんな“新鮮味”などは御免被るのだ。近頃の政治記者よセンセーショナリズムと唯我独尊もいいかげんにせよと言いたい。逆に衆院選と同じ事を言わなければ公約違反と叩くのは目に見えている。
  もう一つの嫁いびり記事が「分量が少ない」だ。読売が「分量は安倍の国会演説としては過去最低」。朝日が「30年間で(小泉純一郎についで)2番目に少ない」と鬼の首を取れば、毎日は「演説の文字数は約3500字で、昨年秋の所信表明演説の半分にも満たない。目新しい政策もなく、第4次内閣となって最初の国会演説がこれでは物足りない」だそうだ。日経に至ってはしゃれたつもりか「省力化が目立った」だと。古今東西国家のトップの議会や国会演説を「短い」
といって批判した例を知らない。「人民の、人民による、人民のための政治」で知られるリンカーンのゲティスバーグ演説は、たったの272語、1449字で約2分間で終わった。カメラマンは演説に気づかず、ようやく気づいた時には演説が終わっていたという。若い記者たちよ、演説は中身であり、長さではないことをこれからは勉強するのだぞ。デスクもデスクだ。「こんな記事書くな」と言う見識がない。唯一日経の社説が「選挙後の特別国会であり、街頭演説の繰り返しのような中身だったのはやむを得まい。長さも、21世紀に入ってからの首相の国会演説では2番目に短かった。掲げた政策をどう具体化するのかなどは、2カ月後の施政方針演説で詳しく語ってほしい。」と主張しているが、これが唯一の常識論だ。
  新聞のとんちんかんな論調は、見識のない野党代表質問者に受け継がれる。「選挙で言っていたことと同じ」との質問に対して安倍は決して「野党は選挙で言っていたことに訴求力がないから大敗した」などと切り返してはならない。ここは「信念を持って選挙での発言と同じ答弁をする」が正しい。分量に文句がついたら「ゲティスバーグ演説は2分弱」と答えるのが正解。そもそも今国会の会期の39日間は特別国会の会期としては異例の部類だ。過去10回の特別国会の会期は3日から9日間が7回で圧倒的に短い。そもそも特別国会などは通常、院の構成と首班指名が目的だ。それを長くとったのは所信表明演説を懇切丁寧に説明するためであり、批判は全く当たらない。
 さらに野党はまたまたモリカケ論争を挑もうとしている。朝日、毎日など新聞やTBS、テレビ朝日など民放テレビが取り上げるのはモリカケしかないからだが、もう国民はうんざりだ。モリカケ論争は総選挙の安倍圧勝で国民の信任を受けて、政治的にはけりを付けたのだ。共産党が9議席減らしたのはモリカケばかりにこだわったからだ。ノーテンキに緊迫する極東情勢をそっちのけにするときかと言いたい。一方、小泉進次郎が党内野党と化して総選挙の「九仞(じん)の功を一簣(き)に虧(か)く」ような発言を繰り返しているが、失望した。だれか忠告してやる政治家はいないものか。親父は諫めないのか。困ったものだし、ここでぽしゃってしまうのは惜しい。