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◎難問山積、激動の極東情勢

◎難問山積、激動の極東情勢
  「米中第二次冷戦」は長期化へ
 北方領土「五里霧中」、邪道の韓国
  今年もはや師走が目前となったが、日本を取り巻く環境は地殻変動を起こす前触れのような様相を見せている。まず大きな潮流を見れば米中関係の潮目が変わり、米中両超大国が「第二次冷戦」ともいうべき状況に突入した。日本は多かれ少なかれ影響を受ける。一見首相・安倍晋三との関係が良好に見えるロシア大統領プーチンは、核心の領土問題で一歩も譲らぬ姿勢をあらわにした。隣国韓国の大統領文在寅は、人気が落ちそうになると竹島・慰安婦で対日世論を煽る邪道路線だ。まさに「四面楚歌」のごとき様相だ。来年の干支は己亥(つちのとい)で足元を固めて次の段階を目指す年だが、次の展望は五里霧中と言わざるを得まい。
 米ソ冷戦に勝った米国は、トランプが「一国主義」を前面に打ち出し、「アメリカ・ファースト」で国を率いると宣言。この方向は一方の超大国中国を刺激し、習近平は「一帯一路」構想を合い言葉に、臆面もなく地球俯瞰型の勢力拡大に打って出た。中国の歴代皇帝がそうしたように、「皇帝」習近平は陸路と海路で西進を開始した。2017年10月19回の共産党大会で採択された党規約には、「共に話し合い、共に建設し、共に分かち合うという原則を遵守して『一帯一路』建設を推進する」と明記した。覇権主義が芬芬(ふんぷん)とにおう大方針である。9月30日には「航行の自由作戦」遂行中の米艦船に中国の艦艇が45メートルまで接近するという異常事態を現出させた。
 こうした動きをとらえて米副大統領ペンスは、2017年の国家安全保障戦略の「中国は米国の安全と繁栄を侵食することで我々のパワー、影響力に挑戦している」との立場を再確認。同時にペンスは「中国は米国の最先端技術を盗み、西太平洋地位域から米国を排除して、同盟国支援を妨げようとしている」と強く批判した。これらの発言は、明らかに敵対国同士の応酬段階のように見える。
  こうして米中対立は長期化する可能性が高い情勢となって来た。米政府はキッシンジャーの隠密外交で1971年から始まったニクソン政権による対中融和策から転じて、対決路線に大きく舵を切った。
 ここで注目されるのは目前に迫ったブエノスアイレスでの主要20か国首脳会議である。G20は11月30日から12月1日の2日間開かれるが、米中は水面下で首脳会談の下準備をしている模様だ。この米中首脳会談が決裂すれば米中対立は修復不能の状態となることが確実であり、両国とも薄氷を踏むような調整をしているに違いない。しかし、中国が一帯一路路線を転換する気配はなく、唯一の超大国として君臨してきた米国も、トランプがそう簡単には引き下がるとは思えない。大きな構造的な潮流は、米中冷戦の継続だろう。
 一方、安倍との個人的な関係を棚上げするかのようにプーチンは北方領土で強硬姿勢を貫く構えだ。ロシア国内でのプーチン人気を押し上げることになったのは、紛れもなくクリミア・セヴァストポリの編入である。ロシアの領土は世界の総陸地の11.5%を占め世界第一を誇るが、大地主が境界線に異常なこだわりを見せるのと同じで、国家も土地があるほど卑しく固執する傾向がある。おまけに極東安保上の戦略が絡む。これに対して安倍は4島のうち歯舞・色丹の2島先行返還でゆく方向に舵を切ったかのように見える。
 とろろがプーチンはここにきてちゃぶ台返しに出た。安倍との首脳会談でプーチンは、「日ソ共同宣言には日本に島を引き渡すと書かれているが、どの国の主権になるかは書かれていない」と言い出したのだ。まるで日本に引き渡しても主権はロシアにあるという、荒唐無稽な屁理屈である。これは事実上プーチンに返す意図がないことを物語っている。安倍がこれに対して何も言わなかったのは、「2島先行返還」でも、なんとか実現にこぎ着けたいとの思惑があるからだろう。「安倍さんは2島で腹をくくった」という説まである。
 しかし、情勢は2島といえども容易でない感じが濃厚だ。なぜならクリミア・セヴァストポリ編入で高まった人気で味を占めたプーチンが、自らの保身を考えたら、2島といえどもロシア人が3000人も住んでいる「領土」を返したら一挙に人気が瓦解すると思ってもおかしくないからだ。こうして北方領土問題は五里霧中となったのが実情だろう。安倍とプーチンは3年以内に平和条約を結ぶことで合意した。安倍の任期は2021年9月までだから任期中にと言うことだろう。安倍は「戦後70年以上残された課題を次の世代に先送りすることに終止符を打つという強い意志を完全に共有した」と発言したが、ここで期限を切っては、事実上歯舞・色丹2島にとどまり、残る国後・択捉2島は永久に棚上げとなる心配がある。
 一方竹島では韓国の国会議員が上陸した。上陸について、外相・河野太郎は、上陸にあたっては政府が関与している可能性もあるとして、韓国政府の責任も問いただす必要があるという考えを示した。韓国大統領文在寅は人気が落ちそうになると、竹島・慰安婦で日本の神経を逆なでして、国民を煽り、人気を取る癖があり、こんな大統領を相手にまともな会談などできるわけはない。安倍は当分「無視」 すべきだろう。ただ河野の言う「文在寅の責任」については、当然追及すべきことだろう。
 ◎俳談
【地名は難しい】
 初心者に限って一句に地名を入れたがるが、最初の内はやめた方がいい。地名には鑑賞者に独特の思いがあって、地名が入るとバッティングして俳句を損なってしまうケースが多い。芭蕉も「去来抄」で名所(地名)が季語に迫る力をもつという考えを述べている。「地名が一句にはいるとき、季語不要の場合がある」とも述べているのだ。一例を挙げると
歩行(かち)ならば杖つき坂を落馬かな
がある。杖衝坂は古事記にもある有名な四日市の地名だ。句意は、歩行なら杖を突いてのぼる杖つき坂だが馬に乗ったため落馬してしまったというのだ。芭蕉が言うようにこの句は無季である。杖つき坂という有名な地名を前面に出した挨拶句のような感じを出している。いずれにしても大した句ではない。地名を知る読者は、地名に感慨を覚えてしまって俳句の感慨が消えかねないのだ。
 しかしどうしても地名と季語を両方使いたくなるのが人情だ。これが見事に調和すれば問題ない。例えば鷹羽狩行は
端居より端居が見えて琉球村
と詠んでいるが、夏の季語端居をダブらせて使っている。のんびりした沖縄の田舎を表現して、違和感はない。
房総の卯波とどろき月上る 毎日俳壇一席
は房総でなければならない必然性があって成功した。房総という大きな景を読者にイメージしてもらう必要があるからだ。
春の空仰ぐ人あり銀座裏 毎日俳壇入選
 これも銀座の路地裏を詠んだが、住宅地の路地裏でなく、銀座であるからなり立つ句だ。しかし筆者も地名を入れて成功した例は少ない。芭蕉は奥の細道の旅の途中、平泉で
夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡
を詠んでいるが、地名は入っていない。地名を入れなくてもこれだけの名句が出来るのだ。初心者は地名を入れない工夫をした方がいい。

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