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◎首相は為政者の義務感から決断ー消費税10%

◎首相は為政者の義務感から決断ー消費税10%
   オリンピックで景気持ち直しか
 残る任期3年を前にして最大級の決断である。為政者は誰も国民に嫌われる増税などしたくはあるまい。首相・安倍晋三の消費増税10%の決断には為政者としての義務感が濃厚に存在する。タイミングとしても絶妙であった。リーマンショック級の事態がない限り、実施は確実だ。来春の統一地方選挙や夏の参院選挙への影響を最小限に食い止めるにはこの時期を選ぶしかあるまい。
 来年10月の引き上げを1年前に公表する狙いについて、選挙への影響を最小限にとどめることを挙げる論調が多い。しかし、ことはそう簡単ではあるまい。新聞や民放はおそらく参院選を来年秋の増税に向けての選択選挙と位置づけ、絶好の反自民キャンペーンを張るだろう。従ってボーダーラインの自民党候補は落選の危機にあるとみるのが正しいだろう。野党にとっては久しぶりの追い風となる。参院選は“負け”をどこまで食い止めるかの選挙となろう。
 安倍の決断について新聞は「財務省に押し切られた」との見方が強い。確かに、財務省には来年引き上げる以上、来年度予算案の準備のためにも首相の早期表明が不可欠との見方が強かった。消費税は景気に左右されにくく、年5・6兆円の税収増は大きい。ただ一省庁の思惑で一国の首相が不人気の源となる大きな政治決断をするだろうか。これは、疑問である。むしろ、冒頭指摘したように為政者としての義務感がそうさせたのであろう。もともと2017年の総選挙の公約は「保育・幼児教育の無償化」であり、当時からそのための財源には消費税を充てるしかないと指摘されていた。
 消費税の税率10%への引き上げについては、過去2回延期してきている。当初は15年10月に引き上げられる予定を1年半延ばした。次に17年4月に予定されていたが、2年半先送りされた。今回は3度目の正直ということになる。
 景気への影響については、今後駆け込み需要が生じるが、先が1年間と長いため分散傾向を見せるだろう。19年の税率アップで景気は一時的には下降するが、2020年の東京オリンピックは持ち直しのきっかけとなることが予想される。おそらく政府も経済界も暗雲を断ち切るためにオリンピックという明るい舞台をフルに活用することになろう。もちろんオリンピックが終われば不況感が漂う可能性も否定出来まい。五輪特需の終了で雇用が減り、建築・不動産バブルが弾け、五輪までに目いっぱい売った商品が市場にあふれて飽和状態になる恐れがあるからだ。官房長官・菅義偉は「リーマンショックのようなものがない限り引き上げる」と不退転の決意を表明している。経済危機が来ない限り引き上げはうごかないだろう。
 各党は公明党が事実上賛成の立場だ。1日の首相との会談で代表山口那津男は増税を支持する姿勢を示し、安倍も「必ず実行する」と約束した経緯がある。その他の野党はおおむね反対で。与野党対決ムードは高まろう。
◎俳談
【女の色気を詠む】
 女のしぐさをうまく詠むと色っぽい俳句ができる。下手に詠むとたちまちにして下卑た俳句となるから気をつけなければならない。
花冷えの女ののんどうごきけり   岸田稚魚
女ののどがうごくという自然現象をとらえたのだが、どのようにして観察したのかと想像が働く。そこに様々な連想が生じて色気を感ずるのだ。
 桂信子に
すすき野に肌あつきわれ昏(く)れむとす
がある。これを「札幌ススキノに居るのか」とか、「風邪で熱があるのか」などとか思っては俳句鑑賞落第だ。美女が夕暮れのすすきの野に肌を熱くして立っているのだ。何事かが起こる予感が空想の翼を広げるのだ。
桂信子には女であることの「特権」を生かして、人の、とりわけ男の「気を引く」俳句が多い。
湯上りの肌の匂へり夕ざくら  
ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき
窓の雪女体にて湯をあふれしむ
などがそれだ。下手に詠むと下品になるが、すれすれの官能美を醸しだしていて、男は魅了されてしまうのだ。
それにくらべると橋本多佳子の
七夕や髪ぬれしまゝ人に逢う   
や、杉田久女の
花衣ぬぐやまつわる紐いろいろ   
は桂信子ほど言わない品の良さがある。しかし狙いは同じ官能美だ。杉田久女の狙いも「思わせぶり」である。
これらの官能俳句に比べると、藤田津義子の俳句はなまめかしい。
爪深く立てても女夏みかん
は、女の非力さを詠んで、滲み出る色気を感じさせている。男の背中に爪を立てている姿と読めなくもないが、こればかりは本人に聞くしかない。

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