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◎俳談

 ◎俳談
【安易に作らない】
 俳句は常に丁寧に作る必要がある。時間をかけて作った俳句か、句会に間に合わせのために作った俳句かはすぐに分かる。言葉使いが安易であるからだ。
牡蠣フライ味わいのよき夕餉かな
牡蠣フライがうまいなどとは誰でも言える。ここから一歩踏み出さなければ俳句にならない。
牡蠣フライこんがり揚がる夕餉かな
こんがり揚がっているのを見れば味まで分かるのだ。
晩冬の何かを焼ける煙かな
遠くの煙だから何を焼いているか分からないから、「何かを焼ける」と表現したのだろう。しかしこれは正直すぎる。
晩冬の落ち葉を焼ける煙かな
見ていなくても落葉と置き換えればよいのだ。そこまで詮索する人もいない。晩冬と落葉と季重なりだが、この場合は主たるテーマの晩冬を落葉が補っているパターンだから問題ない。
縁日の焼き烏賊(いか)食べて春惜しむ
「食べて」が言わずもがなの言葉だ。動詞は二つあってもいいが、この句の場合は動詞がバッティングして目線を股裂き状態にする。
縁日の烏賊焼く匂い春惜しむ 東京俳壇入選
が正解。

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