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◎俳談

 ◎俳談
【命の象徴白い息】
白息を吐きてもの言ふ使の子 毎日俳談1席
 「白息」「息白し」は冬の季語。真冬になると早朝ランナーが機関車のように白息を吐いて走る。私は白息を命の象徴、人生の謳歌としてとらえ俳句を作る。掲句も使いの子が一生懸命駆けてきて、白息を吐きながら伝言する様を描写した。同様に生き生きした子供の姿を描写しようとして
白息を吾に届けに子の走る    日経俳壇入選
飛び付きて白息かけてくるる子よ 日経俳壇入選
を作った。子供と白息は実にマッチしており、何句作ったか知れない。ところが年寄りにも白息を使用できる。NHKフォト575の特選となった
今朝もまた命貰ひて息白し
である。昔田中角栄が「60越えて朝目覚めて息をしていたらありがたいと思わなければいけない」と言っていたのを思い出して作った。ところがNHKの選者は余命幾ばくもない老人の作と判断して、特選にしてくれたようだ。本人はぴんぴんしているのに、悪いことをした。 俳人の句は深みがある。後藤夜半の
息白くやさしきことを言ひにけり
は恋愛の句であろう。加藤楸邨の
ある夜わが吐く息白く裏切らる
は秀句だ。人間関係の深淵を表現した。 


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