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◎名護市長選は「翁長王国」崩壊の前触れか

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◎名護市長選は「翁長王国」崩壊の前触れか
  沖縄に“基地論争疲れ”の傾向
 悔し紛れに沖縄県知事・翁長雄志が「オスプレーが100機飛び交って経済振興が出来るのか」と開き直ったが、時既に遅し。名護市民の選択は自公推薦の渡具知武豊であった。朝日を始め、琉球新報などの事前報道は渡具知の敗北感が濃厚であったが逆転だ。背景には沖縄有権者の“基地論争疲れ”があるような気がする。翁長の指摘とは逆に、基地論争より経済振興の選択が3400票という大差をもたらしたのだ。100機飛び交っても、政府の支援もあり経済振興は可能だ。移設推進の安倍晋三が全面支援した無所属新人の渡具知が初当選したことは、12月に任期満了を迎える沖縄県知事選に大きな影響を及ぼす可能性が高い。
   4年前委に稲嶺進が再選された市長選以来名護市民は、知事選や2度にわたる衆参両院選挙で「移設反対派候補」を当選させてきた。しかし安倍政権の辺野古移設の意思は硬く、普天間移設工事は日々進展している。安倍は「辺野古移設が普天間問題の唯一の解決策」と繰り返した。しかし安倍自身も市長選には勝てるとは思ってなかったようであり、当選後「破るのは難しいと思っていたが、勝ててよかった」と漏らしている。 
 琉球新報は“敗戦の弁”で「渡具知氏の当選は、新基地建設を市民が容認したと受け止めるのは早計だ。渡具知氏は建設を明言せず、国と対話する姿勢を示しただけ」と悔し紛れの論調を展開している。しかしこの論調には致命的な欠陥がある。それは危険極まりない普天間が明け渡されることを度外視していることだ。普天間に比べて辺野古は一種の海上基地であり、危険度は格段に低い。有権者の変化を認めたくないのであろうか。
 確かに自民党の選挙戦略は“基地問題隠し”とも言えるほど巧妙であった。応援した、官房長官・菅義偉や自民党幹事長・二階俊博、副幹事長・小泉進次郎らは、基地問題への言及を避け、名護東道路の工事加速など経済振興一点張りであった。とりわけ現職稲嶺の経済政策の失敗を繰り返し強調した。もちろん渡具知の辺野古言及は選挙期間中ゼロであった。渡具知は、1998年の沖縄県知事選で新人の稲嶺惠一が現職の大田昌秀を破り初当選を果たした際に、「県政不況」で追い込んだように、「市政不況」を稲嶺進にぶつけたのも訴求力があった。
 さらに安倍は沖縄の特殊事情を考慮して、党幹部は発言に慎重を期すよう指示した。にもかかわらず内閣府副大臣松本文明が二十六日、衆院本会議での代表質問の際、沖縄県で相次いだ米軍ヘリコプターの不時着を巡って「それで何人死んだんだ」と、馬鹿丸出しのやじを飛ばしたことは、政府・与党首脳を慄然とさせた。間違いなく選挙に直結すると判断した安倍は、直ちに辞表を提出させ、受理した。野党は慌てて追及したが、時既に遅しの状況であり、結果的に逃げ切られた。辞任しなかった場合は尾を引き、確実に敗北につながったであろう。とりわけ国政選挙で効を奏した“小泉効果”も、沖縄で通用することが分かった。小泉は告示後に2度訪沖しているが、聴衆の集まりぐあいは最高であった。これに公明党がこれまでの様子見から転じて、渡具知を推薦したことも大きく作用した。もともと政治理念のない政党だから、何か得があると踏んだのだろう。
 昨年行われた県内の市長選では、自民系候補が3連勝しており、市長選の天王山に位置づけられた名護市長選で翁長に近い稲嶺を破ったことは、秋の県知事選に弾みがつくことを意味する。自民党幹部は「今年は連勝して沖縄世論を転換する年にする」と強調している。翁長はまだ知事選への対応を明らかにしていないが、まさか自公候補が勝つとは思わなかったと見えて、内心じくじたる思いであろう。

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