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◎俳談

 ◎俳談
【擬人法は至難の業】  
一湾の夜寒の集い来るごとし 産経俳壇入選
 初心者のうちはよく擬人法を使う。擬人法とは自然や動植物を人に見立てて表現することを言う。明治以来擬人法は月並み句の典型とされてきた。月並み句とは駄句のことである。それくらい擬人法は難しいのだ。それを初心者が使うのだからうまくいくはずがない。
掲句は相模湾の夜寒を表現した。夜寒が人の集会のように「集い来る」と表現したのだ。夜寒を二度も三度も感ずる秋の夜を表現した。
いまや目になりしルーペや冬日和 東京俳壇入選
ルーペが目になったという擬人法だが、意外性で成功した。
悪い例を挙げれば
油蝉一服したる閑(しず)けさや
油蝉が一服しているから閑かだと詠んでいるが、軽い上に陳腐だ。
明治時代を代表する俳人、正岡子規も、擬人法を駄句の典型として退けている。
しかし、短歌ではこれが許される。与謝野晶子には
金色のちひさき鳥のかたちして銀杏(いちょう)散るなり夕日の丘に
と有名な短歌があるが、何の違和感もない。しかし俳句のような短詩では無理があるのだ。ところが芭蕉も擬人法の名句を作っている。
さみだれをあつめて早し最上川
がそれだ。最上川が五月雨を集めているというのだから、擬人法の典型である。しかし100万人に1人も出ない天才俳人の真似を初心者がするのは滑稽の部類だ。