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◎俳談

◎俳談
【鳳仙花】
鳳仙花昭和の女健気(けなげ)なる 産経俳壇入選
 歌謡曲の一節が時々脳裏につきまとって離れなくなる。先週までは「死んだはずだよお富さん」だったが、いまは若干高尚になって島倉千代子の鳳仙花。「鳳仙花鳳仙花はじけてとんだ花だけど」と「鳳仙花鳳仙花日陰が似合う花だけど」のフレーズが頭にくっついて離れない。どこに行っても付いてくるのだ。鳳仙花は秋の季語だ。貝原益軒の「大和本草」には「女児、この花とカタバミの葉をもみ合わせて爪を染む。紅色となる」とある。昔の子供も爪を染めて遊んだのだ。だから古称は「爪紅(つまくれない・つまべに)」という。掲句は鳳仙花を昭和の女に見立てた。昭和前期の女は強かった。戦争を耐え抜き、戦後を生き抜いた。地味で質素で、強く美しい昭和の母の姿だ。
鳳仙花グラマン掃射ありし土手 読売俳壇入選
グラマンの機銃掃射があった土手にも鳳仙花が咲いていた。女学生が犠牲になったと聞いた。「はじけて飛んだ花だけど」のフレーズが涙を誘う。

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