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◎俳談

◎俳談
【反戦は時事句でなくなった】
ちよい悪で反戦爺で酢橘かな 月刊俳句入選
 60年安保の時は慶応大学に入学したばかりであった。従って安保闘争で校旗である三色旗が銀座の大通りに初めて翻ったときにもデモで参加していた。「慶応ボーイまでがデモ」と新聞は報じた。国会へのデモは暴徒化したから参加せず、現場を見に行った。東大の学生であった樺美智子が、警官隊とデモ隊に挟まれて死亡したその日である。革命前夜のようだったが、死亡事故を機に、それまで煽っていた新聞が急旋回してデモは引き潮のように下火になった。その安保世代が喜寿となったのだから、「やになっちゃう」。安保世代は生粋の反戦だが、その後にぐれまくって暴徒化した全共闘運動とは一線を画する。正義感が強く、常識派だ。戦争は反対の爺さんたちだ。だから
反戦で神田の生まれ唐辛子 産経俳壇1席
のような爺さんも友達にいる。その前の戦争で命の危険にさらされた官房長官・後藤田正晴のような世代は、根っからの反戦派であるが、いまや生きていれば古希どころか生身魂の世代だ。
反戦で張りのある声生身魂 朝日俳壇1席
とこれも、反戦を語らせれば元気がいい。時事句は新聞選者が一番嫌う俳句だが、「反戦」を織り込んでもいまや時事句とはならない時代となった。時の流れであろう。