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◎俳談

◎俳談
【オノマトペの俳句】
ぱつかんと開く缶詰開戦日 東京俳壇入選
 動物の音声や物体の音響を現した言語をオノマトペと言う。掲句は缶切りの不要な缶詰の開く様を詠んで開戦日と響かせた。古来オノマトペは俳句と密接なつながりがある。芭蕉にもオノマトペ俳句がある。<梅が香にのっと日の出る山路かな>である。一茶のオノマトペ俳句は<うまさうな雪がふうはりふはりかな>が有名。近代でも多くの俳人がオノマトペと取り組んでいる。中でも秋元不死男の<鳥わたるこきこきこきと罐切れば>は秀逸である。オノマトペが何とも言えない哀感をもって秋の季語「鳥渡る」と響き合っている。
 坪内捻転もオノマトペで新境地を開いた。<たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ><三月の甘納豆のうふふふふ>といった具合だ。これを下手に使うととんでもない破たんを来すから要注意だ。しかし勇気を持ってオノマトペを使おう。注意点は片仮名を使うより平仮名を使った方が俳句としっくり合うことだ。小学館の「日本語オノマトペ辞典」が参考になる。
しゃりしゃりと薄氷鳴らし舟通る  毎日俳談入選
ざつざつとバターを塗りて立夏かな 産経俳壇入選 
おろおろと吾もかぎろふ人となる  東京俳壇入選

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