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◎米紙「金体制孤立化のターニングポイント」


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◎米紙「金体制孤立化のターニングポイント」
 金融締め付けが効き始めた
 北朝鮮「弱まる」兆候も
 昔料亭で江戸の端唄を聞いた。「背戸のなぁ段畑(段々畑)で茄子と南瓜の喧嘩がござる」 と、人間のけんかを茶化したものだが、北朝鮮とトランプの「口撃合戦」はまさに佳境に達している。トランプが北朝鮮を「破壊する」、金正恩を「ロケットマン」と呼んで「小さなロケットマンの考えに共鳴するのなら彼らは長く続かない」と脅迫。負けじと外相李容浩は「宣戦布告だ」と反論、宣伝サイトは「先頭に立ってみろ。先頭に立った順番が墓に行く順番だ」。実に北はうまいもんである。茄子と南瓜はどっちもどっちだが、北の発言の激しさは、やはり朝鮮民族が「恨」の民族であることを象徴している。恨んで恨んで千年恨んで、それをエネルギーに周辺大国に抵抗してきた歴史が「口撃力」 を養ったのだ。日本人のように恨みは恥として水に流す民族ではない。だから北発言で常に感ずるのは違和感のみである。
 従って、李が唱える「太平洋での水爆実験」も、話半分に聞いた方がよい。太平洋のどこに打ち込むか知らないが、撃ち込めば北半球は放射能汚染だ。お返しにトランプが平壌で水爆実験をしかねない。一方で政治的な訓練の経験ゼロのトランプは、自らの発言やツイッターへの書き込みの影響力を測りがたい。止める側近もいないから野放し状態だ。トランプは8月8日に記者団に「これ以上脅迫を続ければ世界が目にしたこともない炎と怒りに直面する」と言い切った。ニューズウイーク誌は、トルーマンの原爆投下演説に似ていると報じた。さっそくトルーマン演説をネットで聴いてみたが「炎と怒りに直面する」という表現はなかった。ただし、日本がポツダム宣言を受諾しない場合について「この地上にはじめて破壊の雨が空から降る」と述べている。また「太陽がその源としているエネルギーが、極東に戦争をもたらした者たちに向かって放たれる」とも述べている。これをトランプは誰かから聞いた可能性がある。
 さすがに民主主義国だ。米議会でもトランプへの批判が台頭しはじめた。米上院軍事委員会委員長のジョン・マケイン(共和党)は「炎と怒り」発言の翌日に「私はトランプ大統領の発言に反対だ。大統領は、自分がやると言ったことを確実にやれる状況になるまで、それを口にするべきでない。私がこれまでに見た偉大な指導者たちは、行動する準備が整っていない限り相手を脅さなかった。トランプ大統領に軍事行動の準備ができているのか、私には分からない」と言明した。また民主党下院議員のホアキン・カストロも、「まだ32歳の金正恩とツイッターで怒鳴り合っても、得るものはない。むしろ緊張をエスカレートさせている。北朝鮮に対する対応は、外交や軍事の専門家に任せるべきだ」と批判している。
 こうしたトランプと北の「口撃合戦」とは別に、実施されている金融制裁の効果が生じ始めているとウオールストリートジャーナルが報じている。 「北朝鮮への制裁、やっと本腰」 とする25日の社説で「米国の当局者は長年、北朝鮮の核危機に突破口が開かれると予測し、そのつど誤ってきた。だが、先週はその風向きが変わったことがいずれ証明されるかもしれない。金体制をようやく孤立させるターニングポイントになったかもしれない」との見通しを述べている。同紙は「トランプ大統領が発表した追加制裁の結果、金体制は米ドル通貨による決済からようやく締め出されるだろう。北朝鮮と取引をするどの金融機関も、米国金融システムへのアクセスを失うことになる」と警告。一方で肝心の中国について「中国の規制当局は18日、自国の銀行に対し、北朝鮮との貿易上の取り扱いを中止するよう求めた。中国の銀行の多くは北朝鮮の口座を既に凍結している」と報じた。これを裏付けるように財務長官スティーブ・ムニューシンは、「今や外国金融機関は、米国との取引を選ぶか、北朝鮮との取引を選ぶかの二者択一が通告された。両方と取引することはできない」と述べた。取り引きすればテロの回避と阻止を目指す2001年愛国者法に基づいてテロリストへの資金提供者を対象に科されるものと同等の処罰が行われる。
 こうした金融面での締め付けに加えて米政権内部では国防総省を中心に様々な作戦が練られているようだ。米紙によるとまず大規模な戦力を組織的に運用し相手に宣戦して行う戦争とは異なる「不正規戦争」だ。サイバー攻撃によってミサイルや核開発を不可能とし、通信機能を麻痺させる作戦だ。次に「心理戦」だ。北の幹部はみな携帯を所有しているから、その携帯に向かって情報を流したり、“戦後の優遇”を保証して工作をさせる方式。さらには実験で発射するミサイルを片っ端から撃墜して、金正恩を心理的に追い込む。これらの作戦は既に机上で固まっており、後はトランプの指示を待つばかりであるようだ。
 こうした中で北は、「弱り始めた兆候」を見せ始めている。北朝鮮外務省北米局長崔善姫(チェ・ソニ)のモスクワ入りだ。ロシア外務省幹部と会談して、何事かを頼み込む様子だ。また労働新聞は「最高人民会議外交委員会が各国議会に書簡を送り「トランプ大統領の不法、無道な妄言により、朝鮮半島に核戦争の危機が刻一刻と迫る厳しい状況が作られている」と訴えたと報じている。さすがに世界中を敵に回してはまずいと感じ、プロパガンダを始めているかのようである。

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