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◎俳談

 ◎俳談
【台所俳句】
玉葱に涙などして暮らしゐる 産経俳壇1席
 男といえども退職すれば厨房に入ることも多い。時には本格的な料理にも手を出す。従って台所は句作の材料に事欠かないのだ。掲句はタマネギを切って涙が出たのをとらえた。中村汀女(なかむらていじょ)の句に
秋雨の瓦斯(ガス)が飛びつく燐寸(マッチ)かな
がある。マッチの火にガスが「飛びつく」と表現できるのは並大抵の力量ではない。皆飛び付くのは分かっていても、表現に結びつかないのだ。季語を秋雨と置いて、昔の薄暗い台所の情景を思い起こさせる。男子厨房に入り大いに俳句を作るべし。

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