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◎俳談

◎俳談
【老犬】
老犬の盲(め)しひゆくらし冬の山 産経俳壇入選
 どうも飼っているホワイトテリアが目が見えなくなったり、耳が遠くなったりしているらしい。大声で怒鳴るように呼ばないと顔を上げない。しかし、めしをやる食器の音だけは聞き逃さない。ことりと音を立てただけですぐに起きてくる。食い意地だけは張っている。掲句は季語の冬の山と目が見えなくなりつつある老犬を響かせたものだが、一般の人には何で冬の山か分からないだろう。それはこのエッセイを読んでいる内に分かるようになる。俳句の要諦だ。
 食事も亭主は粗食なのに、犬は牛刺しだ。牛刺しをやるようになってから、胆石の痛みも起きなくなったようだ。ドッグフードがいかに駄目かの証明となった。犬の牛刺しを食べたくなって、こっそり冷蔵庫を開けてつまむと、結構いける。ビールのつまみにいい。犬の食事を盗み食いするようになってはおしまいだが、今度女房の留守に盛大にやろう。犬めにはアジの頭しかやらない。
初嵐犬吠えカラス横っ飛び 東京俳壇入選

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