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◎俳談

◎俳談
【桜を詠む】
桜を詠むときは、季語のイメージが強すぎるので状況を素直に捉えるにかぎる。あれこれ考えすぎたり、技巧を凝らすと墨絵に油絵の具を塗るようになって、桜の爽やかさが出ない。
芭蕉の
さまざまのこと思ひ出す桜かな
が良い例だ。実際にはこれだけの俳句を詠むには、相当な技巧が必要だが、芭蕉はそれを感じさせない。読む者の気持ちの中にすっと入り込んで、いったん入ると忘れないフレーズとなる。
たましひが先に近づく桜かな 産経俳壇入選
桜へと急ぐ身体より心が先に桜へと到達することを詠んだ。
遙かなる桜吹雪に急ぐかな  東京俳壇入選
桜吹雪がまだ終わらないように祈るような気持ちで急ぐ心境だ。いずれも感じたままを読んだ。技巧はない。
夜桜や学舎の窓の闇深し 毎日俳壇入選
夜桜の明るさに学校の窓の暗さを対比させた。
今生に一睡すれば花吹雪 産経俳壇入選
庭のしだれ桜を前に花見酒に酔い、一眠りしたら花吹雪だった。

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