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間違っていなかったロッキード事件の疑念! Name:浅野勝人

4952] 間違っていなかったロッキード事件の疑念! Name:浅野勝人 NEW! Date:2016/08/01(月) 01:13 
 
間違っていなかったロッキード事件の疑念!
角栄はやはりスケープゴートだった!

安保政策研究会理事長 浅野勝人

先月(7月)24、25の連夜、オン エアされたNHKスペシャル「未解決事件!ロッキード事件の真実。40年目の衝撃スクープ」は、私が抱き続けてきた長い間の疑念に明確な回答を示しました。

NHK政治部の若い記者だった私は、1972年夏、人生ではじめて外国に出張する機会に恵まれました。ハワイで行われる田中首相とニクソン大統領の日米首脳会談(8/31~9/1)を取材するためです。

田中角栄が日中国交正常化を公約に、熾烈な角福戦争に勝ち抜いて組閣して間もなくでした。この内閣には、内政は田中、外交は大平という暗黙の役割分担がありました。大平番だった私に、田中首相に同行する大平正芳外相をフォローする役目が回ってきました。
その頃、視聴率の高かった朝のニュース番組「スタジオ102」の政局解説で、キャスターの質問に答えて、田中のことを「コンピューター付きブルダーザー」と言ったところ、あっという間に日本中に広がり、しゃべった本人がびっくりしました。あの頃、流行語大賞があったら、私の造語は当確だったと思います。

1972年は、世界を仰天させたニクソンの電撃訪中(2/21)にはじまり、最長不倒距離を誇った佐藤内閣の退陣、田中内閣発足(7/7)、日中国交正常化を達成した田中・周恩来首脳会談に伴う共同声明と矢継ぎ早に日本の針路を転換させた激動の年でした。思えば「あさま山荘事件」(2月19日)が発覚して日本赤軍が壊滅して、過激な学生運動が消滅した時期でもありました。

当時の日米間の主要テーマは、貿易不均衡の是正でした。しかし、この経済マターは表の看板で、大平正芳のホントの関心ごとは、日中首脳会談をまじかに控え、中国を仮想敵国として敵視してきた日米安保条約の扱いにあることを私は承知していました。日本の生存にかかわる最重要の日米安保条約が、中国との交渉で抜き差しならない支障になりはしないかという懸念です。

ホノルルの田中・ニクソン共同声明で、日米安保条約の重要性がことさら強調されれば、日米安保体制は深刻な中ソ対立を背後に抱える中国を、むしろ支援する味方だというサインと受け取れます。この声明に周恩来が異議を唱えなければ、日中間に横たわる最大の障碍は解消されて、日中正常化交渉はまとまると卦に出ます。
コレ、政治記者のカン!
結果は、その通りであったことを歴史が証明しています。

まさか、ホノルルの日米首脳会談に、もうひとつ奥があったとは思いもしませんでした。のちに知ることになった「よっしゃ! よっしゃ!首脳会談」の存在です。

アメリカの「チャーチ委員会」(上院外交委員会多国籍企業小委員会)で発覚したロッキード事件は、田中角栄前総理が5億円の賄賂を受け取った疑いで受託収賄と外為違反で逮捕された戦後最大の疑獄事件となりました。

公務員の受託収賄罪は、①請諾があった(頼まれた) ②金銭の授受があった ③職務権限がある(政策決定に影響力がある) 
以上の3要素の立証が必要です。

ロキード事件は、田中前首相が大手商社・丸紅から請諾を受けて、ロッキード社の航空機「トライスター」を全日空に買わせ、その報酬として5億円受け取った受託収賄罪が問われました。
東京地検特捜部は、民間航空機・トライスターの導入に関する請諾、金銭の授受、職務権限を立証して田中前首相を起訴しました。起訴事実は、十分に納得できる内容でした。

当時、私は、あの日米首脳会談で、もし、ニクソン大統領が田中首相に貿易不均衡是正の立場から「航空機を買うように依頼された」としたら、民間航空機だけの請諾だったという想定には無理がある。事実は深い闇の中に消えて久しく、もはや真実を知る由はありませんが、「日米安保体制を強化する観点から、軍用機の導入」を強く要請されたと推定する方が自然だと私は思い続けてきました。
具体的には、ロキード社の対潜水艦哨戒機「P3C」(通称オライオン)の導入です。「児玉ルート」に渡ったとみられる21億円の行方といってもいいかもしれません。アメリカ側の主な狙いは軍用機で、民間航空機は付け足しだったのではないかというのが私の疑念でした。

NHKスペシャルのドラマ化された場面で、事件の指揮を執った特捜部吉永祐介主任検事(のちの検事総長)が、P3Cの疑惑に執拗にこだわり、児玉誉士夫の臨床尋問を繰り返す執念を視て、ドラマとはいえ、納得のいく姿に視えました。

40年目の衝撃スクープによると、
☆ ロッキード社との交渉の窓口となった丸紅・常務直属の部下で、すべてを知る航空機課長が、「トライスター採用は事実上決まっていた。田中・桧山会談(丸紅・桧山会長が田中総理を私邸に訪ねて、トライスターの採用を請諾したとみなされた会談)は、P3C導入のお願いだった」とTVカメラに向かって40年ぶりに証言した。
☆ 三木首相の強い要請によって、アメリカ側から提供された資料に、民間機のトライスター導入に関わる相関図がTANAKAを焦点に明確に示されているのに、膨大な資料の中に軍用機のP3C、E2C偵察機(早期警戒機)は一文字もない。

ドラマの中で、吉永主任検事が、トライスターは明白なのに、P3Cにまったく触れていないアメリカの資料を前に「(アメリカから我々が前首相を逮捕できるかどうか)試されているのか、それとも(民間機に)誘導されているのか」とうめくように言ったセリフに全てが語られているように私には映りました。

もっとも、シロウト集団の「丸紅ルート」からはボロボロ漏れましたが、筋金入りの「児玉ルート」からはまるで情報が得られませんでした。当時、検察の事情聴取に備えて、重要書類を焼き捨てるように指示された児玉側近だった人が、「全てドラム缶に入れて燃やした。英語の領収書のようなものもあった」と述べているのは「ピーナッツ」「ピーシーズ」といった類の領収書がバラバラ出てきた丸紅とは年季が違いました。

幸か不幸か、民間航空機にまつわる前総理大臣の疑獄事件摘発に世論は満足しました。その陰で、軍用機疑惑に発展するのを巧みに避けて、戦後歴代政権の安保政策、さらには日米安保体制の在り方が俎上にのぼるのを食い止めた日米エスタブリッシュメントの高度の政治判断と見えざる闇の力だったと思えてなりません。40年間にわたる疑念に対するいささかの裏付けに、私なりに納得して、「我が心のロッキード事件」の終幕とします。(元内閣官房副長官)

<余計なお節介>
事前に何度も指摘した通り、小池百合子に勝てるのは「桜井パパ」しかいなかった。これはわかりきった選挙のイロハ。桜井パパを口説けなかった時点で勝負あり。それを理解できなかった自民党都連会長の辞任は当然。閣僚に留まるのですかねえ。

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