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◎俳談

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【ベス単フード外し】
 100年前ベス単というカメラが流行った。1912年発売とともにベストセラーとなり1925年までに180万台が販売された。大量生産で比較的安価だったからだ。昔のカメラのベストセラーだ。単玉で折りたたみ式でヴェストのポケットに入ったことからベス単の愛称がついた。正式名称はヴェスト・ポケット・コダック(Vest Pocket Kodak 、VPK)だ。そのレンズだけを取り出して、ニコンのD800Eに取り付けられるようにした改造レンズを入手した。
 このレンズでの写真の撮り方はベス単フード外しというもので、戦前日本で流行った。フードを外すとレンズが大きくあらわになって、撮った写真がにじんだりぼけたりする。“とろとろ”になって何とも言えない味わいが出る。顔の小じわも消える。最新鋭の360万画素のカメラと100年前のレンズのコラボは面白い。これまで触ると切れるような精細な画像を作り出してきたカメラが、一転してレトロな風景を生み出すのだ。まるでCDの冷たい音が、アナログレコードの深い音に戻ったような大変化である。
雪撮りてベス単レンズ暖かし 杉の子

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