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◎俳談

 ◎俳談
【ニュースは詠まない】
◆恐ろしき昭和を見たり昼寝醒(ざめ)
 俳句に時事詠(えい)というジャンルがある。そのときのニュースを詠むのだが、ほとんど成功しないのはなぜか。それは地名を読み込むのと同じでニュースの印象が強すぎて、詩情を壊すからだ。加えて俳句は永遠なる感情を詠むものであり、一過性の感情を詠まない。
 これと異なり短歌は時事詠を大切にする、俳句より長いから他の言葉で詩情を述べることが可能だからだ。従って俳句で「津波」「福島」はまず成功しない。しかしさすがにプロの句はいい物がある。
◆いくさにもつなみにも生き夕端居(ゆうはしい) 小原啄葉
成功したのは「つなみ」ではなく夕涼みをしている老人を詠んだからだ。

◆命あるものは沈みて冬の水 片山由美子
いつまでも変わらない万古不易を詠んで津波を思わせるからだ。
 掲句「恐ろしき」は時事詠で、戦争、原爆という昭和の有様をよんだ。朝日俳壇1席だ。


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