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◎小沢は消費税政局でもう詰んでいる?

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◎小沢は消費税制局でもう詰んでいる?
 棋界の天才・羽生善治は「100手や1000手は時間をかければ読もうとおもえば読めるが、時間が膨大になる」と述べている。そして「大局観を使うとショートカットできる。無駄な考えを削れる」とも語った。消費税をめぐる民主党内の攻防が14日から始まるが、その大局観でショートカットして政局を分析すると、元代表・小沢一郎はどう見ても詰んでいる。首相・野田佳彦が消費増税の旗を降ろさない限り、増税は実現する流れだろう。
 なぜ小沢が詰んでいるかというと、大きく見れば「天の時」「地の利」「人の和」を生かしきれていないからだ。「天の時」は3年前に小沢に吹いていた追い風がピタリと止んでしまったことだ。「地の利」は、陸山会裁判で与野党の人望が消失し「小沢待望論」が極端に減少したことだ。「人の和」は自らのグループの守備にだけに目が行って、党全体を見ないことだ。この大前提に立てば、小沢が目先の消費税反対と倒閣を繰り返すだけで、大戦略を語らないわけが分かる。語れないのだ。
 なぜ小沢が詰んでいるかをもう少し具体的に見れば、小沢の2つの武器である消費増税反対と、内閣不信任案賛成が極めて戦略価値が乏しいものとなったのだ。消費増税反対の行き着く最終段階は消費増税法案への反対投票であろう。50人が反対すれば衆院で否決が可能となり得ると小沢は「15手先」に読みを入れているが、野田が全政治生命を賭けると言っている法案である。「16手先」を読めば、やすやすと否決という事態には至るまい。野田が自民党総裁・谷垣禎一との極秘会談を行ったのはまさにそこがポイントだ。野田は12日も話し合い解散の可能性に言及しているのだ。野田は中盤での極秘会談で大手飛車取りの妙手を選択したのだ。次に内閣不信任案可決がどうなるかだが、そもそも野党が提出する状態になるかどうかが極秘会談であやふやになった。例え提出して、小沢の賛成で可決したとしよう。野田は間違いなく総辞職でなく起死回生の解散を選択する。総選挙となれば、野田は賛成派を除名処分にして、選挙区に刺客を送る。チルドレンは壊滅、小沢の政治基盤は喪失することとなる。これは3手先の読みくらいに確実だ。不信任案への賛成は桂馬の高飛びで歩の餌食になって、詰んでしまうのだ。
 そこで小沢にとっての唯一の窮地脱出は千日手に持ち込んで、最初からやり直すしかあるまい。それは14日からの消費増税をめぐる党内調整で妥協に応ずることだ。焦点は景気の動向によって増税を中止するトリガー条項を付則につけるかどうかだ。もともと大綱には「法律成立後経済状況等を勘案した上で、引き上げ停止を含めて所要の措置を講ずる」との停止条項がある。小沢グループなどはこれをより具体的にして、成長目標の数字を明記することを主張しているが、これは難しい。執行部はリーマンショックや東日本大震災並みの事態を想定しているからだ。むしろ村山内閣が1994年に成立させた改正消費税法の付則の方式がここにきて浮上している。同方式は引き上げの半年前までに行革の進捗状況を見て見直しをする規定である。結局予定通り97年4月に税率を3%から5%に引き上げることが出来たが、こうした案も含めた議論となるのだろう。
 小沢グループは何も知らされていない突撃隊が波状攻撃を掛けた後、野田の譲歩を迫ることになろう。そこに幹事長・輿石東や副総理・岡田克也らが舞台裏で行った調整が“出番”となるのか、そのまま激突の路線を突っ走るかの読みは、羽生ではないが時間が足りない。いずれにしても野田の決意は固く、閣議決定にはこぎ着けるだろう。閣議決定を強行した場合、事態は延長戦となる。十五世名人・大山康晴は「3手正確に読めればいい。極端にいえば次の相手の1手が読めれば十分である」とも述べている。その次の一手が難しい局面に入ったことは確かだ。小沢は「10人が真剣に反対すれば消費増税をつぶせる」とあおるが、逆に消費増税は「野田1人が先頭で突撃すれば成立可能」なのだ。野田の消費増税への思い込みに変化はないことだけは読める。
 


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