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◎野田Vs小沢がコリジョンコースに入った

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◎野田Vs小沢がコリジョンコースに入った
 このところ民主党元代表・小沢一郎による消費増税反対の発言が尋常ではない。1日は「鉄槌が下る」とまで言い切った。一方首相・野田佳彦は同日の記者会見で並々ならぬ決意を表明、「先頭に立つ」と宣言した。西部劇なら単線を遠くから二つの機関車が正面衝突のコースを走り始めたことを意味する。これを「コリジョンコース現象」という。おそらく激突して火花を散らすか、どちらかが急ブレーキを掛けるかのぎりぎり勝負となるだろう。
 観察していると11月15日の小沢と幹事長・輿石東の会談がきっかけとなっているように見える。会談内容は分からないが、以後小沢は環太平洋経済連携協定(TPP)や消費増税で野田批判を繰り返し始めた。TPPでは「古くさい卑屈な言葉の使い分けを外交で演じたのは、日本にとって大変なマイナスだ」と正面切って批判。30日夜には「いま消費税率を上げれば党が二つに割れる。このまま衆院解散になれば、戻ってくるのは50人ぐらいだ」と脅しをかけた。そして1日に至って「政府から消費税の問題も含めいろいろアナウンスがある。皆さんを無視し、ばかにすると必ず大きな鉄槌(てっつい)が下されると非常に心配している。政権交代の原点に返り、初心を取り戻さなくてはいけない」とまで言って脅しをかけた。
 せきを切ったように攻勢に出た小沢だが、輿石の方は消費税での発言を自ら封じてしまっている。しかし輿石はかねてからの消費増税反対論者である。1月の通常国会の代表質問では「『民主党は衆議院の任期中に消費税率を上げることはない』ということを一貫して主張してきており、果たしてそれが守られるのか、不安の声が聞かれるのも事実だ」と首相・菅直人を追及している。小沢・輿石会談はその後の動きを見ると「野田が消費税で目の色が変わっているのは困ったモンだ。痛めつけるか」くらいのことであったのだろう。小沢は「ボクがやるから君は黙っていてくれ」というところだ。輿石を温存して、いざというときの調停役または決め手に使おうということではないか。
 しかし小沢の発言を分析すると、危険な側面がちらついているのが分かる。「50人しか戻れない」がその典型だ。当選した308人のうち50人しか戻れないとなれば、小沢チルドレンは全滅だ。「お前ら、野田を捨てておくと消費税解散に追い込まれて、大変なことになるぞ」と言外に煽っているのだ。その煽りが利いてきて、党内はTPPの比ではないほど反消費税の声が満ちてきた。小沢は床に油をまいて回っているのだ。しかし「党が割れる」とは言っても「割る」とは言っていない。時事通信によると側近の元参院議員・平野貞夫が29日の講演で、小沢が「党から出ると簡単に言うな」と周囲に語っていることを明らかにしたという。さらに小沢は平野に「国民の生活が第一ということが守れる政権を続けることだ。今の政権にそれができないなら、そうさせることだ。その意見を多数にすることが(新党結成より)優先される」と語ったという。これなら条件闘争であり、新党結成の動きではない。いくら何でも裁判闘争中の刑事被告人が新党を結成できるかということでもあろう。「新党、新党」とうるさい亀井静香との会談も牽制球であることになる。しかし、こればかりは激突の“弾み”があるからまだ断定は出来ない。
 こうした小沢の動きについては野田は十分承知の上で1日の発言に至ったのだろう。何と「私が先頭に立ち、年内をめどに取りまとめるため政府内、与党内の議論を引っ張っていく」と発言したのだ。「先頭に立ち与党の論議を引っ張る」という“宣言”は、野田がはじめて投げ返した小沢に対する牽制球に他ならない。小沢の脅しに脅してぎりぎりのところで妥協を迫る政治手法には、あえて屈せずに無視して突っ張ったのだ。野田は側近に「私が一歩でも引いたら総崩れになる」と漏らし、ともすれば腰が引けている閣僚や側近らの奮起を促しているのだ。いずれにしてもコリジョンコースであることには変わりがない。年末までに素案がまとまるのか、それとも、あえなく野田が小沢に降伏するのか。民主党政権の正念場が到来しつつある。


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