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◎菅政権直撃、「新政権指向」強まる:地方選惨敗

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◎菅政権直撃、「新政権指向」強まる:地方選惨敗
  有権者は民主党に政権を取らせたことへの深い反省があるのだろう。参院選挙に引き続く統一地方選挙前半戦のこれ以上負けようがないほどの惨敗は、単なる地方選挙の枠を越えて、政権そのものへの「ノー」の回答であったとしか言いようがない。二代にわたる首相の統治能力の欠如、とりわけ東日本大震災に際しての首相・菅直人の対応への不信と落胆、これらが総合的に民主党政権に「もう退場せよ」とタオルを投げかけているとしか思えない。加えて特筆すべき結果は、散々たる福島原発の事故にもかかわらず、知事選も道府県議選挙も原発容認派や推進派が勝利した点だ。有権者は原理主義的な原発否定でなく、より災害対策を強化した原発を望むという大人の選択をしているように見える。
 民主党の“惨状”は相当なものがある。民主党は自民党との対決型であった東京、北海道、三重の知事選で敗北、道府県議選挙も第一党になったケースはゼロである上に、改選前の384議席を上回ることすらできなかった。逆に自民党は41道府県議会のうち40道県で第一党となり、大阪だけ大阪維新の会に譲った。この原因は言うまでもないだろう。ルーピー鳩山由起夫に象徴される統治能力の欠如、小沢一郎の起訴や前原誠司の外相辞任が象徴する「政治とかね」問題、そして鳩山に勝るとも劣らぬ菅の指導力の無さ。とりわけ大震災への対応力の欠如をみて、有権者は「もうこりごりだ」「まだ自民党の方がまし」という反応をしたのだ。地方選結果が中央に届けという反応である。
 加えて、エースであるはずの幹事長・岡田克也の意外な当事者能力の欠如も露呈した。道府県議選で1000人以上の擁立を目指しながら、571人しか立てられず、天王山の都知事選では本命候補も立てられず、渡辺美樹の支持に回った都議会レベルと対応が割れて、一枚岩で臨めなかった。岡田の地元で民主王国であるはずの三重県でも知事候補の党推薦が遅れ敗北した。岡田は敗因について自らが選挙運動をできなかったことを挙げたが、この期に及んで言い訳はすべきでない。選挙に弱い幹事長ではいかんともしがたい。党内の批判は菅だけでなく岡田にも向かうだろう。岡田は早々に「辞任は考えていない」と述べたが、党内の風当たりは強くなる一方だろう。少なくとも「菅後継」は消えた。
 前半戦のもう一つの傾向は、北海道、福井、島根、佐賀の知事選で原発の是非が争点となったにもかかわらず、容認派の知事が再選されたことだ。加えて原発を抱える地域の県議選でも推進派が圧勝している。新潟の柏崎刈羽郡選挙区では二人の推進派自民党候補が急きょ立候補した反対派を押さえ当選した。山口県上関原発開発をめぐっては、白紙撤回を主張する候補が落選。鹿児島県薩摩川川内市選挙区だけは定員3人中原発増設計画白紙撤回派が一人食い込んだ。この吹き荒れる原発反対の風潮の中で意外な結果であった。都知事に四選した石原慎太郎も選挙前は慎重だったが、当選すると「今度の事故で原発を全部否定したらどうなるか。冷静な判断をしないとこの国の経済は持たない」と本性をあらわにした。
 地域政党の進出が目立ったが、既成政党の体たらくに対する反動であろう。とりわけ「減税日本」の県議選議席確保は、この大災害を前にして荒唐無稽な名古屋市長・河村たかしの「住民税減税」への支持ではあるまい。総じて言えば、地方選挙とはいえ民主党の得意の主張である“直近の民意”は「ノー」とでたことになる。自民党幹事長・石原伸晃は「民心が離れた政権が国難に対処できるのか。菅首相は受け止めて対処せよ」と事実上退陣を迫った。今後国会運営でも厳しい対応を迫られよう。大震災対策の4兆円の第1次補正予算は緊急措置であるだけに、野党も徹底抗戦はしまい。連休前の成立は不可欠であるからだ。
 しかし統一地方選挙で民意の支持が得られなかったことは、まず野党側に、マニフェスト撤回要求の根拠を与えたことになる。勢いづいた野党は、第二次補正の財源をめぐる攻防へと発展させる可能性が十分ある。さらに自粛してきた「菅降ろし」が、与野党で再び再燃するきっかけとなる可能性を秘めている。小沢や官房副長官・仙谷由人らの動きも注目に値する。衆院での内閣不信任案上程や参院での問責決議上程へと発展しかねない流れも生じうるだろう。大連立への流れを「菅降ろし」と「時限連立」を条件に加速させる動きも水面下で生ずる可能性がある。政権弱体化が次々と露呈する中で、「新政権で大震災への対処」が政治のキャッチフレーズとなり得る情勢でもある。
 


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