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◎「菅降ろし自粛」のカーテンが開き始めた

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◎「菅降ろし自粛」のカーテンが開き始めた
 東日本大震災から1か月で浮かび上がった日本の政治の姿は、指導力のない首相・菅直人が未曾有の国難に輪をかけてしまっている現状であろう。ついに参院議長・西岡武夫までが7日異例の退陣要求をしたのを始め、与野党を問わず菅では難局を乗り切れないという声が悲鳴のように上がっている。政界では被害地に気を遣った自粛ムードが支配的だったが、今は床に油がまかれ、いつ火が付いてもおかしくない状況である。首相・菅直人は自らのふがいなさに気付いて早急に退陣すべきだ。退陣すれば大連立が動き出し、東日本復興に向けて歯車が回り始める。
 西岡が「首相はいくつ会議を作れば気が済むのか。責任逃れとしか見えない」と酷評しているように、震災発生以来菅は首相官邸に人垣の防波堤を築くことに専念、まさに「泥縄政権」の様相だけが目立っている。人垣で自分への攻撃を避ける余り、とても異常時に危機管理の有効な対策を提言できる人物とは思えない原子力委員会委員長・斑目春樹を、そのままのポジションに置き続けている。二回の災害現場視察は現地に迷惑を掛けただけという以外の何物でもなかった。記者会見しても何も発信しないから、記事は4面まで探さないと出てこない。おりから原発風評被害は世界に広がり、農産物のみならず、理不尽にも工業製品にまで影響が生じている。ここは首相が自ら世界に向けて声明を発し、風評を抑えるべき所をなすすべを知らない。そうかと思うと福島原発20キロ~30キロ圏の「自主避難」という大失政だ。曖昧な行動基準がどれほど現地に迷惑を掛けたかは想像に余りある。                 
 要するに1か月間の菅の言動には、危機に際しての首相たる者のリーダーシップの片鱗すら感じられないのだ。小型の交通事故を繰り返す者は大事故を起こす確率が極めて高いが、菅の姿を見ると、いつ国家的な規模での大事故をしでかすかと気が気ではなくなる。しびれを切らした西岡が「菅内閣が今の状態で国政を担当するのは許されない。アクションを起こす」と言い放ったのも無理はない。自民党幹事長・石原伸晃も「この人に任せておくと東北の人は大変なことになってしまう。東日本大震災の対応が一段落したら、一日も早く退場してもらわないといけない」と退陣要求に踏み切った。そもそも菅は外国人からの献金発覚で窮地に陥ったところを、大震災で“執行猶予”となっているだけだ。政界では大震災に向けた“自粛”のカーテンが開かれつつあるように見える。心ある政治家は多少の非難を受けても、ここは首相を変える方が先だと思い始めているのだ。
 しかし首相を辞めさせることは容易ではない。鳩山由紀夫の場合は自らの発言で墓穴を掘ったが、菅はそれを意識してきわめて慎重だ。記者団の前にも姿を現さない。野党と参院議長が退陣論をぶったところで、犬の遠吠えと聞き流すだろう。焦点は現在は沈黙を守っている小沢一郎がどう動くかだ。自民党と組んで「菅降ろし」に向かえば内閣不信任案はたちまち成立し、解散は無理でも退陣に持ち込むことは可能だ。また官房副長官で獅子身中の虫と化している仙谷由人が、本気で「反菅」に回れば容易に崩れる。仙谷は自民党副総裁・大島理森となにやらやっている様子だ。菅のクビと引き替えに大連立に動いているという説が絶えない。または西岡の影響力を使って参院で問責決議を可決させて、「死に体内閣」を作ることも可能だ。これは退陣までに時間がかかり大震災を前にしては次善の策だろうが、十分にあり得る。
  10日の統一地方選挙は民主党の惨敗が必至だが、地方選挙で首相が辞めたケースはない。しかしボディブローとして利いてくるし、政権揺さぶりの大きなきっかけにはなり得る。大連立は地方選挙を前にいったん各党が退いた形だが、まだまだ端緒についたばかりだ。断定的に否定できるのは素人のコメンテーターくらいだ。読売新聞が「期限付き大連立で強力政権を」と8日付社説で説いたように、政界にもマスコミにも「救国政権」への期待感は大きい。ネックである菅が退陣すれば、一挙に展開する可能性もある。菅は居座ればそれ自体が「国難」であると自ら悟って、ここは国家国民のためにも身を退くべきであろう。最近政界でCMとなった金子みすゞの詩をもじった、笑い話がはやっている。「『大丈夫?』っていうと、『大丈夫』っていう。『漏れていない』っていうと『漏れていない』っていう。そうして、あとでこわくなって、『でもちょっと漏れている?』っていうと『ちょっと漏れている』っていう。こだまでしょうか?いいえ、枝野です」。菅政権の体たらくを如実に物語るパロディだ。


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