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◎自民党はなぜ大敗するのか

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今朝のニュース解説(17日) Name:杉浦正章
 
いよいよ衆院選挙は明日18日公示だが、既に解散以来26日が過ぎ、残りの14日はもう終盤戦の様相だ。選挙情勢を子細に分析すると、明らかに当初からの自民党大敗の流れに変化が起きていない。民主党は単独過半数を確保する勢いだ。財源問題にせよ安保論議にせよ民主党マニフェストには欺瞞(ぎまん)満載であり、自民党の主張が明らかに的を射ているのに、有権者は聞く耳を持たない。ちょうど小泉純一郎の郵政解散を「猫だまし」と気づかずに、自民党をを圧勝させたケースの逆だ。なぜ自民党は負けるのか。答えは簡単だ。自民党への“不信”が民主党への“不安”を上回っているからだ。したがって日本の有権者は“不安”をあえて無視する“賭け”に出ようとしているのだ。
 首相・麻生太郎が鈴木貫太郎の言葉として「負けっぷりもよくないといけない」と述べたが、この時点でのこの発言だ。まさにまな板のコイの心境なのだろう。逆に民主党選対委員長・赤松広隆は「260を超える勢いであることは間違いない」と意気軒高だ。自民・民主で分けると見られる議席は480議席中、まず400議席だろう。自民、民主の戦いの白熱化で中小政党が食われる可能性もあるが、それでも両党で415議席が最大限と見られる。この場合は分かりやすく400議席と仮定してみれば、自民、民主両党の議席配分は①自130,民270②自150,民250③自180,民220④自200,民200の4ケースくらいだろう。
 自民党の当初の情勢調査は130議席と読み、赤松が260を越えるとしているのだから、ケース①となり、この場合はケース②も含めて自民党は当面再起不能まで追い込まれるだろう。民主党に大スキャンダル、大失政が起きない限り、再度の解散へと追い込む力はない。党分裂の危機もある。ケース③の場合は再起に望みをつなげられるが、過半数は民主党連立政権に取られるだろう。来年の参院選挙での“揺り戻し勝利”への期待は持てる。ケース④の200対200なら、自民党は100議席減ながら「勝った」と言えるほどの情勢だ。公明党や諸派・無所属と合わせれば241議席の過半数を維持できるかも知れない。政権維持も夢ではない。しかし潮流はとてもそこまでいくまい。
 なぜここまで有権者は自民党政権に否定的なのだろうか。冒頭挙げた“不信”の原因は何か。まずだいいちに挙げられるのは、小泉郵政解散で国民はだまされたことにようやく気づいたのだ。郵政改革の本質はいわば小泉の“私闘”であり、その欺瞞性に小生は当初から警鐘を鳴らしていたが、改革と名がつけば飛びつく民放テレポリティクスがまずだまされ、有権者が続いた。相当のマスコミ人でも当時はだまされていた。その結果が誰も投票の際は意識していなかった市場原理主義への過度の傾斜による格差の拡大、地方の疲弊の加速であった。加えて消えた年金、消した年金の露呈であり、後期高齢者医療制度という失政もあって、国民の不満は頂点に達した。その怒りが高潮のように突堤を越えようとしている時に、安倍晋三、福田康夫の無責任な連続政権投げ出しである。高潮に大型台風の大波が一波二波と押し寄せたような状況に至ったのだ。
 さらに運の悪いことに米国発の大不況が大地震の津波となって列島を襲った。大不況は選挙でかならず時の政権に不利に作用する。政府・与党のせいではなくても血祭りに挙げられるのが定めである。民主党は結局何もしていないのに“敵失”だけで選挙に勝てる状況になったのである。マニフェストが論理的に正しいかどうかの選択ではなくなったのだ。何とかの一つ覚えのように10兆円のばらまきと節約による財源捻出(ねんしゅつ)を繰り返してでもある。また国の命運を左右する安全保障問題を野党共通マニフェストに明示出来なくてもだ。民主党が圧勝すればこの政権は4年間は解散しまい。その間に日本の外交・内政が大きく揺れ動き徘徊(はいかい)することは目に見えている。隣国中国は1,2年以内にGDPで日本を抜いて世界第2の経済大国になるというのにだ。民主党の紛れもない欺瞞に有権者が気づくのは先の話だ。


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