SSブログ

最近の論評集

今朝のニュース解説(5日) Name:杉浦正章 NEW! Date:2009/06/05(金) 07:41 [ 返信 ]
◎民主党は霞が関を制御できるか
 「政権を取ったら霞が関官僚との決戦になる」と民主党政策調査会長代理の長妻昭が宣言しているが、たしかにこのままではそうなるだろう。党の基本政策自体が「霞が関の解体」にあるのだから、最初から“決戦”構えで臨むのは間違いない。代表・鳩山由紀夫や同代行・菅直人らの“官僚押さえ込み構想”も相当ドラスチックだ。問題は押さえ込んで日本の政治が円滑に動くかどうかだ。どうも怪しい。
 同党の政権交代の旗印として掲げている「脱官僚」路線は、キャッチフレーズが躍る割には必ずしも明確でない。新聞からは「脱官僚の中身を示せ」(毎日新聞社説)と指摘されている。こうしたなかで党首脳からはさまざまな構想が打ち出されている。鳩山はかって「各省局長以上にいったん辞表を提出させ、民主党路線に応じるかどうかを確認して再任する」という、いわば“踏み絵”構想を打ち出した。そこには頭から官僚をねじ伏せようという、感情的なまでの高ぶりがみられる。無理もない、民主党の財源構想が欠陥だらけなのは、官僚が民主党に情報を一切流さないからだ。情報を渡さずに「なっていない」と批判されるのだから、怒り心頭に発するのだろう。長妻にしても「消えた年金」も「消した年金」もひとえに発掘調査によって成し遂げたことだから、怒るのも無理はない。
 具体的な押さえ込みの機構についても、党が前面に出ようとしている。「民主党議員100人を各省庁に配属させる。各省の副大臣と政務官に加え大臣補佐官を新設する。首相官邸では衆参両院一人ずつの官房副長官を増員する」という構想がある。これに加えて菅が4日発表した「政権構想私案」は自民党政権の基本が内閣と党の二元制にあるとして、「内閣を官僚に任せず政権党自身で運営することが必要だ」と強調している。その上で、幹事長、政調会長らに閣僚を兼務させて内閣と党を一元的に運営するとしている。要するに全党あげて力ずくで官僚を押さえ込もうという点で共通している。
 しかし、これらの構想には致命的な欠陥がみられる。それは3権分立との兼ね合いだ。100人も党議員を官僚組織に植え込み、党首脳に閣僚を兼務させるというのだから、行政と立法が合体してしまうような流れだ。どこかの全体主義国家と違わないことになりかねない。党内社会党左派の入れ智恵かとも思いたくなる。政府と自民党はあらゆる政策をめぐってこれまで対峙してきたし、それが行政と立法の間にある種の緊張感を生み出してきた。民主党は党と行政一体化で、緊張感がなくなる可能性がある。責任の所在もあいまいになる。
 また、根底に流れる思想に「官僚性悪説」がある。深夜タクシーの問題にしてもマスコミの報道に乗って批判するが、それだけ働かせていることを忘れている。収賄など汚職、官僚の怠慢問題など批判の種は尽きないが、それが構造化しているアジアの大国よりはましだ。ようするにマスコミの社会記事的な批判を根拠に「霞が関改革」なるものを成し遂げよとしているのである。まじめに、真摯(しんし)に働いている優秀な官僚が大多数なことを忘れている。ポピュリズムで霞が関改革を遂行することの危険が予感される。首相・麻生太郎が党首討論で良いことを言った。それは「公務員は公務員としての仕事がある。誇りを持たせる必要がある。官僚バッシングだけやっても駄目だ。やる気にさせないと公務員は動かない」。たしかに日本的な対応は「やる気を出させる」のが政治だ。民主党は「やる気を無くさせる」政治に落ち込もうとしている。たとえ政権を取っても短命で終わるという最大の根拠だ。







[2408] 今朝のニュース解説(4日) Name:杉浦正章 Date:2009/06/04(木) 07:43 [ 返信 ]
◎鳩山邦夫の「私闘」で政界再編は無理
 総務相・鳩山邦夫の「私闘」で政界再編をを牽引できるかというと、極めて疑わしい。逆に日本郵政社長の西川善文の続投を認めなければ、総選挙を前に郵政民営化推進派がことを「政局」に持ち込み、自民党分裂の引き金を引きかねない。首相・麻生太郎はまたまた瀬戸際の危機にひんしている。
 一部新聞や民放テレビなどに常軌を逸した鳩山の「西川続投認可拒否」の姿勢に、「政界再編を狙っている」とする見方があるが、果たしてそうだろうか。その理由は鳩山が民主党代表・鳩山由紀夫と兄弟だからと言う程度意外に根拠が見あたらない。事実、邦夫は昨年12月、由起夫に電話して「政界再編やろうよ」と持ちかけている。邦夫は「理念を同じくする者が一緒にいるべきだ。わたしと兄は、少なくとも兄と小沢さんよりは理念が近いと思う」と記者団にも述べている。しかし由紀夫は弟の言動に対して3日「自民党がほとほと嫌になったのか、そうでないかは分からない。政界再編をにらんだ行動とは必ずしも見えないところがある」と否定的な発言をしている。自民・民主対立の構図はいくら鳩山兄弟でも動かせないところに来ている。邦夫には首相への野望も垣間見えるが、その器ではあるまい。あきらかに邦夫はかんぽの宿を盾に「社会正義」を振りかざして、引っ込みがつかなくなったのだ。そのかんぽの宿の問題も第三者委員会で「経営判断として許容の範囲」という結論が出ている。
 だいたい政府・与党の大勢が「続投是認」に向かっているときに、鳩山が選挙に不利なことが分かっている郵政民営化への逆行路線で旗を揚げて、ついて行く者がいるかと言うことだ。それどころか注目すべきは民営化推進派のドン・小泉純一郎の出方だ。小泉は元幹事長・山崎拓との3日の会合で「西川を更迭したら政局になる。解散どころではなくなる」と漏らしている。党内基盤のない鳩山でなく、党内基盤のある民営化推進派が動きかねないのだ。中川秀直も「人事は民営化を進めるか元に戻すかの選択」とすごみを利かせている。
 機を見るに「鈍」な麻生は、盟友であるはずの邦夫のマスコミへの発言を野放しにし続けてきた。ついには続投なら辞任とまで言わせてしまった。閣内不統一のそしりを受けても仕方がない対応である。この政権はここぞという場面で「政治」がない。焦点は日本郵政の株主でもある財務・金融・経済財政相・与謝野馨が知恵を出せるかどうかだ。3日「業務改善命令への対応を検証し、客観的な事実に基づき判断すべきだ」と述べているが、落としどころは業務改善命令がいちおう行われていることを理由に鳩山を説得するところくらいだろう。しかし鳩山がそれでも辞任するとなれば、麻生はそれを認めるしかあるまい。西川が政局波及への責任を感じて自ら辞任すれば話は別だが、これはウルトラCだ。







[2407] 今朝のニュース解説(3日) Name:杉浦正章 Date:2009/06/03(水) 07:47 [ 返信 ]
◎自民党は浮き足立っているときか
 まるで落城寸前のうろたえぶりではないか。自民党議員らも政権政党ならもう少し落ちついて物事を判断してはどうか。ここにきて論議されている三大愚策を上げよう。背景不明の「総裁選挙前倒し」、やると思ったらやらない「世襲制限」、有権者にこびを売る「定数削減」。いずれも底流には「総選挙敗北」への焦燥感が重くのしかかっているのだ。麻生にも大軍を粛々と率いる重さがない。政権末期とはこういうものか。
 突如総裁選挙前倒し論を言い出したのは、町村派の山本拓。当選したときしかメディアに名前が登場した記憶がない。普段いささかセンスに欠けるヤジをばかり飛ばしているので有名な方のようだ。それが「倒閣運動ではない」と弁明しながら「倒閣運動」の先鞭(せんべん)をつける動きに出た。民放テレビのコメンテーターや、みのもんたの嬉しそうな顔が目に浮かぶ。両軍対峙の関ヶ原の戦を前にして味方の大将を代えようと言うのだからすさまじい。発案者は今後ようやくテレビへの出番が回ってくるだろうが、もしかしてそれだけが狙いかも知れない。選挙区向けに“仕事”しているように見えるわけだから。総裁選挙を前倒しして誰か「敗軍の将」を引き受けてくれる奇特な政治家がいるのだろうか。なったとたんに首を落とされかねないというのにだ。さすがの元幹事長・中川秀直も陰で糸を引いていると思われてはたまらんと思ったか「そういう状況になっているとは思わない」。中心の核が悪すぎて、広がりはない。渡辺喜美離党の時のように一過性だ。
 一方、「世襲制限」の旗を振っていたと思った選対副委員長・菅義偉が2日、「次の次の総選挙」からの実施を選挙公約に掲げることが望ましいと言い出した。「次の次」とはこの政治状況においてはやらないことと同じ。盟主・麻生太郎の“ぶれ”に側近が感化されてはどうしようもない。
 極めつきは定数削減論議だ。民主党が「衆院比例選の定数80削減」に加え、参院定数の削減までやろうとしているのに焦って、自民党内でも定数削減への動きが闊歩(かっぽ)している。しかし何で定数を削減しなければならないかは根拠が薄弱だ。比例の定数を無くすというのならむしろ小選挙区比例代表制という選挙制度そのものを、中選挙区制に戻すのが本論ではないのか。コスト節減というが多くの国民は立派な政治が行われるならコストはいとわないだろう。民主党の比例削減は小沢一郎の公明党つぶしの執念が反映されたものだ。だいいち自民党に唯一残った“選挙支援団体”公明党の選挙応援が受けられなくなって良いのか。こういう論議がなされること自体が、小選挙制のもたらした弊害だ。大局を見られずに重箱の隅をつつく小粒の議員ばかりを生み出している。
 解散・総選挙もここまで来ると事実上の任期満了選挙と変わらない。麻生は解散権の行使と言ってもせいぜい1か月の幅しか与えられておらず、解散権は封ぜられたのと同じことだ。もう自民党はじたばたせずに、奇策は使わず政策の本論を戦わすべき時ではないか。







[2406] 今朝のニュース解説(2日) Name:杉浦正章 Date:2009/06/02(火) 07:41 [ 返信 ]
◎民主党は郵便悪用事件でも説明責任がある
 自称・障害者団体「凛(りん)の会」(現・白山会)を郵便割引制度の適用団体と認めた決裁文書を、厚生労働省の係長が偽造したとされる事件で民主党議員の名前が取りざたされている。当初は単なる事務上の誤判断かと思われた事件が、日を追う事に政治家がらみの事件へと発展しそうな雲行を見せている。それも西松事件に続く民主党議員がらみの話だ。民主党は同問題に対する大阪地検の捜査を西松事件に続く「第2次国策捜査」と鼻であしらって無視し続けるのだろうか。総選挙を前にして自浄作用を発揮させるべきではないのか。「解散に追い込む」と代表・鳩山由紀夫は外面上意気軒高だが、じりじり疑惑で追い込まれているのは民主党ではないのか。
 あらゆる報道が二人の民主党議員に絞られている。産経新聞によれば障害者団体証明書の発行について、当時の厚生労働省障害保健福祉部長が大阪地検特捜部の任意の事情聴取に、「民主党の国会議員から電話で凛の会への対応を頼まれた」と証言しているという。また朝日新聞によると、自称・障害者団体「白山会」(東京)代表の倉沢邦夫容疑者(73)が04年春、白山会の前身団体「凛の会」への団体の証明書発行を求めて厚生労働省幹部と面会した際に、民主党副代表・参院議員の石井一の事務所関係者であることを告げたと供述しているという。電話で直接依頼したのが誰かは自ずと浮かび上がってくる。
 また共同通信によると逮捕された「白山会」の会長守田義国容疑者(69)が「民主党の牧義夫衆院議員(51)=愛知4区=に『競合している団体の活動を抑えてほしい』と頼んだ」との供述をしていることが1日、捜査関係者への取材で分かったという。牧は国会で、白山会の競合団体を批判する質問をしており、疑惑の目が向けられている。
 石井事務所は倉沢邦夫容疑者が私設秘書として二十数年前に一時期だけ在籍していたことを認めている。しかし「厚労省への訪問は把握していない。凛の会という団体も知らないし、議員本人や事務所がそんなことを指示したり、許可したりすることはあり得ない。」と頭から否定しているという。黒白は大阪地検の捜査の進展を見れば分かることだが、問題は前代表の秘書が西松問題で起訴され、その説明責任も果たされないままの状態の中で、今度は副代表と中堅議員の疑惑が発生しているという党の体質である。恐らく代表・鳩山由起夫以下党首脳は固唾を呑んで捜査の進展を見守らざるをえない状況であろう。
 しかし総選挙を前にして見守っているだけでいいのか。いつまでもほおかむりできる問題でもあるまい。それとも選挙妨害になるから、議員本人への事情聴取などの捜査には限界があるとでも思っているのだろうか。参院議員の場合なら選挙妨害にもなるまい。通常のダイレクトメールなら郵送料金が1通120円かかるところ8円に割り引かれる「心身障害者用低料第3種郵便物制度」を、特定企業が利用するという悪質きわまりない事件である。民主党はこれまで厚労省がらみの問題では「消えた年金問題」に始まって見事な発掘と追及を展開してきた。しかしその裏で生じている疑惑は、「表で追及し、裏でゆする」というまるで暴力団のような構図が出てくるではないか。厚労省も厚労省だ。政治家から頼まれると、「政治家マター」と称して特別扱いし、善悪をわきまえずに対応する。霞が関体質そのものだ。鳩山はパフォーマンスの田植えなどしているときではないのではないか。党内で自ら自浄作用の先頭に立つべきだ。説明責任をまさに求められている。







[2405] 今朝のニュース解説(1日) Name:杉浦正章 Date:2009/06/01(月) 07:31 [ 返信 ]
◎台頭著しい菅“政局スポークスマン”
 近ごろカラスの鳴かない日はあっても自民党選挙対策副委員長・菅義偉(すがよしひで)の名前を見聞きしない日はない。同じ漢字の名前・菅直人の回数を上回り、菅とだけ出ても「すが」と読むようになってきた。その発言は政局中心だが、実に的を射ており、報道各社の政治部取材には欠かせぬキーパーソンとなった。幹事長や官房長官の発言より重いときが多い。首相・麻生太郎の信頼も厚く、まるで“政局スポークスマン”的な存在である。
 例えば菅の30日に行った解散時期に関する発言「麻生太郎首相の判断として遅い方がいいという方向に少しずれ始めている」を分析してみよう。これは明らかに29日夜の首相との会合の空気を反映していることが分かる。「少しずれ始めている」とは首相との接触回数が多いからこそ出来る発言だ。そのうえにこれほどの重要発言を首相の了解を得ずにするはずはない。つまり首相の意を体していることも分かる。
 菅の首相との接触回数はほとんど毎週である。週に二回というケースもある。最近の菅の首相との接触を見ると発表されたものだけでも5月11日、15日、25日、26日、29日と立て続けだ。とりわけ26日は翌27日の民主党代表・鳩山由紀夫との党首討論を控えて綿密な打ち合わせをしたようだ。討論での焦点の絞り方を「小沢院政の浮き彫り」に絞ったことや、言い回しなど討論技術にわたって進言したに違いない。その結果明らかに「麻生の勝ち」を導いている。
 菅は中川昭一や甘利明とともにNASAといわれる首相側近だが、最近では両者より抜きん出ているといってもよい。当選はわずか4回で、首相の重用ぶりから自民党内には“嫉妬”も芽生えている。その台頭ぶりは、やはりたたき上げの野中広務のケースと似ている。秋田県出身で高校を卒業して集団就職列車で上京し、苦学をして法政大学を卒業。衆院議員・小此木彦三郎の秘書となり頭角を現し、横浜市議を経て96年の総選挙で初当選している。選対委員長古賀誠から信頼を得て、同副委員長に就任して現在に至る。首相では安倍晋三の信頼も厚かった。
 政策面でも「世襲制限」を最初に言い出し、党内からはやっかみ反分の反対論が生じたが、問題の本質を小泉純一郎の後継問題と看破して、根回し。後継を公認しないことで決着をつけるというすご業をみせた。世襲問題はたたき上げだからこそ出来る問題提起であろう。政治家とは受け継ぐものでなく、自らの努力で切り開くものという人生哲学が根底にあるのだ。まさに人材が枯渇している麻生側近のなかで唯一の光る存在だ。まだ60才と若く、さらなる成長が楽しみだが、今のところは派閥の長として首相を目指すタイプと言うより、参謀役が似合っている。







[2404] 今朝のニュース解説(29日) Name:杉浦正章 Date:2009/05/29(金) 07:42 [ 返信 ]
◎首相の手に余っただけ:厚労省分割問題
 厚労省分割論が2週間であぶくのように消えた。指示したはずの首相・麻生太郎も「最初からこだわっていない」と、雲をかすみと“とん走”した。当初の狙いは失態、不祥事続出の厚労省を改革、総選挙の争点として一挙に劣勢挽回を図ろうというものだった。実現すれば「郵政民営化選挙」の再来となりえた起死回生の妙手だっただろう。しかし族議員を抱えて根回しなしの拙速きわまりないトップダウンでは無理だ。簡単に言えば麻生に“処理能力”がなかったのだ。
 そもそもは読売グループ本社会長兼主筆・渡辺恒雄の発案で、これを受けた麻生が財務・金融・経済財政相・与謝野馨に指示して推進しようとしたものだ。厚労省の肥大化は一般歳出予算52兆円のうち同省関係だけで25兆円も占めていることが端的に物語っている。このところのニュースの出具合を見ても担当相・舛添要一が姿を現さない日はない。年金記録問題に始まってインフルエンザ、雇用対策、医療・介護問題など複雑多岐にわたっている。インフルエンザでは「よく分かっていない大臣がしゃしゃり出ないで専門家を出せ」という批判がよく聞かれた。所管分野が多すぎて舛添自身のの監督権が弱体化していたといわれる。こうした状態が名だたる社会保険庁の不祥事につながったともいえる。厚労省が今の態勢でしっかりした対応をするのは困難だろう。この問題認識事態は正しい。
 しかし、問題は首相のハンドリングだ。29日の朝日新聞の社説をして「厚労省分割―またしても政権の迷走」と書かれてしまう、すきだらけのものだった。象徴的なのが厚労省所管の保育園と文部科学省所管の幼稚園の一元化。それぞれに族議員がついており、とりわけ文教族の反発が強かった。文教族のドン森喜朗まで怒らせてしまった。なぜかと言えば一にかかって“根回し不足”であった。これだけの大事業を成し遂げようとすれば、党内根回しに少なくとも半年はかかる。それをなしでトップダウンで処理する政治力は、麻生にはいささか欠けている。危険な橋をそれと認識せずに渡ろうとしたのが全ての原因だ。定額給付金の高額所得者辞退問題と似ている。
 民主党の副代表・前原誠司に「哲学もないまま、選挙のために飛び付いた付け焼き刃が露呈した。自ら墓穴を掘っている」と指摘されたが、“敵失追及政党”にまたまた絶好の餌を投げ与えてしまった。毎日新聞によると28日の政府の「安心社会実現会議」で委員の一人に批判された渡辺恒雄は、「無礼だ」「黙ってはいられない」「党利党略に新聞社の主筆たるものが便乗して振り回されているようなことを言われた。取り消していただきたい」とかんかんに怒ったという。まあまあナベツネさんそう怒りなさんな。ご愛敬ご愛敬。狙いは悪くなかった。







[2403] 今朝のニュース解説(28日) Name:杉浦正章 Date:2009/05/28(木) 07:39 [ 返信 ]
◎麻生の勝ちだが支持率につながるまい:党首討論
党首討論はまるで麻生セメント社長対専修大学助教授の対決のようだった。この「社長対学者」対決は、つまるところ小沢擁護と小沢批判に凝縮された結果、論戦そのものは討論技術も含めて7対3で首相・麻生太郎の勝ちとなった。しかしテレビ視聴者は家庭の主婦など「学者風好み」が多く、「国民目線」では意外と「鳩山さんおかわいそう」と同情をかっているかも知れない。
 討論は側近の選挙対策副委員長・菅義偉と練りに練った作戦どおりに進んだのだろう。財源論議などは後日にとっておいて「小沢問題」に集中しようという作戦だ。合計50分近い討論の16分が経過した頃、麻生が突然鳩山のキャッチフレーズ「国民目線」をとらえて、「国民目線というなら最大の関心は西松の問題」と切り込み、以後30分以上「小沢問題」に引っ張り込んだ。「責任をとった方が代表に次ぐ代表代行というのは国民目線では理解しがたい」と「小沢院政」批判から始めた。企業献金全面禁止の民主党案についても麻生は「現在の法律すら守らずに制度が悪いというのはすり替え」と突っ込んだ。鳩山は「一方は秘書が逮捕され、他方はおとがめなし。これが検察官僚のやることなのか」と切り返したが、この発言は世論とかい離している。圧巻は鳩山が「小沢さんは正しいことをやっていた。でも秘書が逮捕された」と述べたところを、麻生がすかさずとらえて「いま正しいことをやったと言ったのか」と斬り込んだ。鳩山は内心「失敗した」と思ったのだろう、ひるんだ隙に麻生が「本人が正しいと思っても間違えば逮捕される。国策捜査に当たらない」と真っ向からたけ割りの面を取って、事実上勝負は終わった。それにしても麻生は敏感に反応した。
 そこで全国紙が社説でどう反応しているかだが、鳩山を褒めていない。むしろ批判的だ。朝日新聞は鳩山の検察批判発言をとらえて「そこに力点を置きすぎれば、自民党政治に突きつけた『官僚主導VS.国民主導』という肝心の対立軸がぼやけてしまう」と矛盾をついた。毎日も「首相が小沢氏の問題を取り上げるのは承知していたはずだ。この問題にどう対応するか、党としてきちんと整理されていない姿も露呈することとなった」。産経はもっと率直に「小沢氏や民主党の説明責任が果たされていない状況では、首相の主張の方が説得力を持つだろう」。
 鳩山の政治理念“友愛”についても読売が「首相は、抽象論ではなく、経済危機などの「現実」にどう対応するかが最も重要だ、と切り返したが、政権を担当する身として当然のことといえよう」と論評した。新聞各紙は記事では対等の戦いのように書いているが、明らかに鳩山の負けだ。しかし冒頭述べたように、もっともらしく「友愛」を説く鳩山に新鮮さを感じる層がいる。かってプロの政治家から毛嫌いされた学者都知事・美濃部亮吉が、都民の人気が高かったのと似ている。したがって勝った麻生の支持率好転につながるかというと、まずつながるまい。







[2402] 今朝のニュース解説(27日) Name:杉浦正章 Date:2009/05/27(水) 07:36 [ 返信 ]
◎総選挙後は“百鬼夜行”か
ぐずぐず辞任を引き延ばした「なんとか一郎」が「なんとか太郎がぐずぐず解散延ばした」と批判しているが、泣いても笑っても夏の総選挙は避けられまい。ここに来て自民、民主両党の間で勝敗見通し論議が盛んだが、総じて自民敗北の見方が強い。しかし民主党が単独過半数を取れるとの見方は少なく、比較第一党で民主党中心の野党連立政権との分析が強い。しかし自民中心の連立が不可能とも言えまい。選挙後の展開はまだ誰も予測がつかないのが実情だ。
 いまの政治現象で特異な傾向は、衆院選としては有権者の自民党離れが選挙史上珍しいくらいの勢いで進んでいることだ。つまり「政権交代志向」の流れだ。この流れは「小沢問題」で一時ブレーキがかかったものの、一応同問題が除去されて回復しつつある。あらゆる報道機関の世論調査が、少なくとも比例代表では民主党に投票するとの回答が、自民党への回答を上回っている。比例だけでなく「次の選挙の投票行動」の設問にも民主党を上げる例が多くなっている。驚くべきことに「比例で自民に投票」は「小沢問題」の2か月間も流れが変わらなかった。比例票に「自民党」と書かないというのである。しかし衆院選挙の場合比例票が小選挙区とは連動しない。したがって小沢が目標としているように小選挙区で150議席を獲得できるかどうかは分からない。比例で雪崩現象が起きても小選挙区での雪崩現象に連動するかどうかはまだ未知数だ。
 民主党選対委員長の赤松広隆が26日夜「比較第1党は取れるが、単独過半数には足りない。社民党や国民新党、無所属などと合わせて過半数の241議席をクリアしている状況ではないか」との分析をしているのは正しいかも知れない。幹事長・岡田克也の発言「単独過半数を目指す。届かなかったとしても、他の野党と協力し、政権交代を必ず成し遂げる」はその辺の認識を反映したものだろう。もっとも1月時点の民主党の調査では270から80議席という数字が出ており、予断は出来ない。
 自民党では早くも「負け」を予測する声が出始めた。報道によると元幹事長・中川秀直は26日夜の会合で「政権交代への機運は強く、いつ選挙をやっても自民党は負ける。来年は民主党を解散に追い込んで、衆参同日選挙だ」と漏らしている。たしかに圧倒的支持率でスタートした細川政権は8か月で退陣に追い込まれたが、自民党としてはそこに希望をつなぐしかないのかもしれない。
 選挙後は民主党を中心に、社民党、国民新党と手を組めば過半数に達するか、それとも公明党を引き込めば達するかなどの状況が生じるだろう。一方自民党は公明党との連立で過半数を実現できるかどうかが焦点だ。「出来ない場合は悪魔とでも手を組むか」と冗談めかして連立に共産党も引き込む説がある。それが出来れば日本版「国共合作」だが、社会党との自社連立政権を成し遂げた梶山静六はいまはない。まさに選挙後は“百鬼夜行”の状態が生じてもおかしくないだろう



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。